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石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」

コラム

行くあてなく長い散歩、午前の図書館を埋め尽くす…居場所なき定年夫にならないために

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 農業や漁業・林業のような第一次産業や自営業以外の多くの方は、組織に所属して働いている、いわゆるサラリーマンでしょう。そして、男性も女性も名刺や肩書をお持ちのはずです。組織に所属すると、その肩書がものを言って、昇進するにつれ権限が増えて給料が上がるのが普通です。そのために、多くの人が組織のトップを目指して頑張ろうとします。

仕事に明け暮れ、定年を心待ちに

 男女ともに上昇志向はあると思いますが、組織の中では、とりわけ男性の上昇志向は強いように思えます。これには、目的に向かって 猪突ちょとつ 猛進的に行動させる男性ホルモンの影響があるのかもしれません。仕事が中心になり、家庭生活が犠牲になり、気が付けば家族との溝が深まっているという事態になりかねません。そのために、若いころから「ワーク・ライフ・バランス」を考えましょうと啓発されてきましたが、まだまだ過重労働が続いていることから「働き方改革」が本年度から実施され始めました。

 仕事だけが人生ではなく、家庭や友人と過ごす時間を大切にし、余暇を楽しもうと思っている若い人たちは増えてきているように思えます。しかし、これまで仕事一筋で生きてきた中高年の男性には、すでに家族との溝が深まり、仕事以外に生きがいがないという人も少なくはないでしょう。組織の中で自分の思いや考えを押し殺し、組織のために辛抱と我慢をする生活が続いたので、定年退職で組織から離れるのを心待ちにしていた人も多いようです。現役時代があまりにもつらかったために、誘われた再雇用に応じない人もいるそうです。

毎日が退屈で不安に…

 私の患者さんの中には、仕事のストレスでうつ状態になり、何とか会社に復帰して頑張っている人がいます。「定年が待ち遠しい」と思ってきたのですから、何とか定年にこぎ着ければ症状も改善するはずです。しかし、定年になって数か月後には、「毎日毎日が退屈で、何をしてよいか不安になる。こんなことなら、再雇用を受け入れておけばよかった」と言いながら、診察を継続することになります。

 もっとつらいのは、家で所在なく過ごす夫と一日中、ともに過ごさなければいけない妻でしょう。あまりにもうっとうしいので、妻に「日中は家にいないで外出してください」と言われ、しぶしぶ外出。でも、行くあてはありません。仕方なく長い散歩をして、疲れたら公園で一休みすることになります。

 健康のために毎日散歩しておられる高齢者もおられるでしょうが、所在なくうろうろしている方も少なくはないでしょう。そして、その多くが男性だと気が付きませんか? 高齢女性が一人で所在なく歩いていたり、公園で座っている姿はあまり見かけません。

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石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)
 内科・循環器・性機能専門医。大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。大阪市内と都内で男性更年期外来を担当。主な著書に『夫源病』(大阪大学出版会)、『男のええ加減料理』(講談社)、『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略』(幻冬舎新書)など。自転車による発電に取り組む「日本原始力発電所協会」代表を務め、男性向けの「ええかげん料理」の教室を各地で開くほか、孫育てに疲れた高齢者がネットで集う「孫育のグチ帳」を開設するなど多彩な活動をしている。ホームページは「男性更年期 夫源病 石蔵文信

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1件 のコメント

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友人とか家庭に幻想を持つのはやめるべき

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

別に、仕事漬けの人生が悪いわけでもなく、友人や家族に恵まれる人生ばかりでもないでしょう。 書物は友人で、図書館は居場所で、隣り合わせる知人も適切...

別に、仕事漬けの人生が悪いわけでもなく、友人や家族に恵まれる人生ばかりでもないでしょう。
書物は友人で、図書館は居場所で、隣り合わせる知人も適切な関係かもしれません。

一方で、そういう不安や不満から、技術者が海外に流出する方が怖いですけどね。
ある程度の技術のコアが流出すれば、若年人口の多い国に追い抜かれるのは現実でしょう。

むしろ、受け皿や制度をどういう風に考えていくか、政府や社会の課題です。
増税して、特定企業や産業に振り分けるだけが国家政策ではないです。

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