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薬物依存回復「普通の姿」舞台に…施設利用者らが出演

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 薬物依存症からの社会復帰を目指す京都市内のグループが、自分たちの日常を描いた演劇を17、18両日、同市内で披露する。メンバーが利用するリハビリ施設は、移転計画が地元住民の反対で中断を余儀なくされている。舞台に立つのは「ありのままの姿を知ってもらいたい」との思いがあるからだという。

17・18日 京都ダルク移転中断で

薬物依存回復「普通の姿」舞台に…施設利用者らが出演

倉田さん(中央)から演技の指導を受けるダルク京都の利用者=中田智香子撮影

 「私たちは薬をやめたいと思って集まっているんです」

 舞台は、出演者が客席に向かって訴えるシーンから始まる。演じるのは、リハビリ施設「京都ダルク」(京都市伏見区)の利用者ら。世間の元薬物中毒者への視線は厳しいが、そんな中でも立ち直ろうと生きる姿を伝える内容だ。

 京都ダルクの利用者は男性約10人。依存症を克服した経験を持つ人らが利用料や寄付などで運営している。共同生活できる施設があるが、老朽化のため昨年2月、同市内に民家を購入。建て替えて移転する予定だった。

 しかし、通学路沿いで高齢者も多い地域でもあり、地元住民が「何となく不安」などと反対。施設側は説明会を計8回開いたが、理解は得られず、工事が進められない状態という。

 演劇を提案したのは、京都を中心に活動する演出家でダンサーの倉田翠さん(31)だった。利用者はボランティアで川の清掃活動をしており、泥だらけで汗を流す姿を見て、交流を持つようになった。

 施設では、利用者同士で体験を語り合い、過去を振り返る。倉田さんは、利用者が生きづらさや弱さを直視して思いを吐露したり、たわいのない話で笑いあったりするのを見て、「特殊な人たちではなく、私と同じように悩みながら暮らしている」と感じた。

 それだけに、住民説明会で反対の声を聞いた時はショックを受けた。「自分に向き合いながら生きる姿を伝えることで、共感したり救われたりする人がいるはず」と、利用者と話し合いながら舞台の内容を練った。

 ほとんどが芝居の経験はないが、伝えたいのは「普通の姿」だという。

 出演する男性(43)は、周囲に気を使い、自分の本音を隠して生きてきた過去を舞台で語る。「刑務所に入り一生日陰暮らしと思っていた人間に、こんな機会がもらえた。悩んでいる人に今の自分の姿を見てほしい」と意気込みを語る。

 施設の支援スタッフの大久保猛さん(51)も「立ち直って社会の中で生きていく際の糧になれば」と期待している。

 公演は京都芸術センター(京都市中京区)で。18日はチケットが残っており、一般3000円(前売り2500円)。問い合わせは同センター(075・213・1000)。

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