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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか

コラム

体重増加の原因は怠慢 腎臓をくれた夫に「ごめんなさい」と…

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移植腎を一日でも長く持たせる

 「いい人生だった」と言ってもらうために、私がすべきこと。それは「移植腎を一日でも長く持たせること」だ。主治医である東京女子医科大学教授の石田英樹先生は、次のようにアドバイスする。

 「大切なのは規則正しい生活を送ることです。バランスの良い食事、適度な運動、良質な睡眠をとりましょう。移植後は味覚が改善され、なんでもおいしく感じることから、ついつい食べ過ぎてしまう患者さんが少なくありません。体重が増えると、その分、老廃物が多くなり、ひいては移植腎の寿命を縮めてしまう可能性が高まります」

 この原稿を書いている今朝の私の身長、体重は160センチ、49キロ。メタボではないが、術後から2~3キロ体重が増えている。原因は私の怠慢だ。体が回復すればするほど、レシピエントは健常者とほぼ同じ生活が送れるようになる。食事制限、運動制限はなくなり、社会復帰も可能。旅行や娯楽も不自由なく楽しめるようになり、“楽しむ”ことに遠慮がなくなる。

 夫の背中に触れ、「ごめんなさい」と言った。夫は「元気になった証拠だから」と穏やかだ。が、名倉さんのニュースが何度も脳裏に浮かぶ。私のために手術を受けてくれた夫への配慮と感謝の気持ちが薄れていないだろうか……。

腎機能を失う意外な原因

 移植腎の機能が失われる原因として少なくないのが、「ノンアドヒアランス=服薬指示の不順守」であると石田先生から聞いた。体調がいいからといって、患者の自己判断で、免疫抑制剤の服用をおろそかにすると、拒絶反応が起きるリスクが高まる。現段階では、レシピエントは生涯、免疫抑制剤を服用しなくてはならない。一日だって油断は禁物なのだ。

 かつて、人生はシンプルなものだった。誰かを好きになって、愛に変わる。愛した人が病気になり、やがて永遠の別れがくる……と。

 しかし、医療の進歩により、臓器移植という選択肢ができた。それによって、別れを遠ざけることもできる。医療関係者あっての私たちの人生だし、夫あっての私の人生だ。この先どう生きるか…自分に問いかける。(もろずみはるか 医療コラムニスト)

監修 東京女子医科大学病院・石田英樹教授

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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1件 のコメント

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医療と社会の闇と良い距離感で向き合う

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

体重増加に関する評価は、なかなか難しいので、服薬順守同様に専門家と話し合って検査しながらでいいと思います。 怠慢とも、回復ともいえないでしょう。...

体重増加に関する評価は、なかなか難しいので、服薬順守同様に専門家と話し合って検査しながらでいいと思います。
怠慢とも、回復ともいえないでしょう。
それまでの食事制限の方がタイトなわけですから。

世間のニュースを見ればわかる通り、五体満足でも世間様に立派な職業でもいろいろ問題はありますし、臓器一つで伴侶を得られるのであれば、その事の価値はどうとでも考えられますので、深く考えすぎる必要もないでしょう?

奪い合いと分かち合いは世の常です。
その中で、何ができるか、どう修正できるか、それだけを考えていればいいと思います。

そもそも、芸能人の躁鬱は、その職業の特殊性を考えれば当たり前のことです。
本音と建て前と苛烈な競争社会。
医者の世界も似てまして、なにかドラマで非現実な設定をやらかすのはやめてほしいです。
合わせないといけない部分もあってめんどくさいですが、それもニュースの通りで、光も闇もあります。

いずれにせよ、患者として、市民として、適切な距離感で向かい合うためにも啓発活動を続けていただければと思います。

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