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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

がんの生存率とは? 集計データごとの特徴や違いを知ろう

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「10年生存率」「サバイバー生存率」

 <全国がんセンター協議会(全がん協)> 今年4月、2002~05年にがんと診断された患者の10年生存率(相対生存率)が56・3%だったと発表された。10年生存率の発表は16年から始まり、これが4回目で、年々延びている。

 この基になっているのは、全国がんセンター協議会(全がん協)のがん登録の集計だ。全がん協は全国の自治体立のがんセンターなど約30の病院でつくる団体で、集計開始が早いことから、10年生存率を出すことが可能になっている。病院名を出した治療成績の公表にいち早く取り組むなど、積極的な情報公開でも知られる。

 全がん協のサイトでは、がんの種類や病期、性別、年齢などに加え、診断から経過した日数を入力すると、その時点での生存率を出すことができる。「がんサバイバー生存率」と呼ばれ、患者は自分の今の状況における生存率を知ることができる。

病院ごとの生存率≠治療の良しあし

 生存率はあくまで多くの患者の平均としての確率であって、一人一人の患者の余命を決定づけるものでないことは、全がん協のサイトでも強調されている。

 また、病院間の単純な比較はできないことも重要だ。高齢患者を多く診ているとか、がん以外の病気を持つ患者を多く診ているなどの患者背景の違いのほか、症例数が少なかったり生存状況の把握割合が低かったりといった統計上の課題もある。生存率=治療の良しあしとは単純には言えないことに注意したい。

(田村良彦 読売新聞専門委員)

がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html

がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html

全がん協生存率調査
http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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