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第25回口腔保健シンポジウム

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【第25回 口腔保健シンポジウム】(4)舌が支える食事や会話

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吉良 直子氏

 舌の機能に注目しています。ものを食べるには歯も大事ですが、のみ込むためには、かんだ食べ物を丸めたり固めたりする舌の役割が重要です。話す時は頬や舌を使って空気を言葉にしています。理学療法士や言語聴覚士などと一緒に、舌の動きから健康寿命を支える研究をしています。

 きっかけは、2016年4月の熊本地震でした。熊本市職員(歯科医師)として避難所を回りました。使える水が十分ではなく、歯磨きをする人は少ない状況でした。口角に唾液の泡がたまり、食べ物をのみ込みにくくなる人が出てきました。様々な感染症は口から入ってきます。口の中が乾燥すると、 誤嚥ごえん 性肺炎をはじめとする感染症の不安も出てきました。

 そこで、みんなで楽しめて唾液がもっと出るような運動「ベロタッチ」などを、みんなで一緒にやる活動をしました。

 「ベロタッチ」は、歯ブラシで舌の先端や左右の3か所を3回ずつ優しくタッチするもので、唾液が出て、食物がのみ込みやすくなったり、発音しやすくなったりします。

 避難所以外でも、10年間寝たきりで言葉を発していなかった人に家族が「ベロタッチ」を行ったところ、亡くなる前に「ありがとう」と言葉を発したそうです。

 今後、舌と健康の関係を示す研究が進み、臨床試験の結果や科学的根拠が示されることを期待しています。

 ◇きら・なおこ  1981年九州歯科大学卒業。熊本市中央区役所保健子ども課に勤務当時、歯があっても食事しにくい子供たちに出会い、舌の重要性に気づく。熊本地震では避難所で舌・口腔ケアを指導した。現在は、福岡県内の歯科医院に勤務する。

 参考になるウェブサイト
◇日本歯科医師会 テーマパーク8020
https://www.jda.or.jp/park/
◇サンスター オーラルフレイル情報サイト
http://jp.sunstar.com/oral-frail/

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