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産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」

コラム

笑顔が自分を追い込む 「スマイル仮面症候群」(上)

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自分の客観的な見直しが必要

 こうして、節子さんは笑顔を身に付けて、就活にも成功し、仕事も順調でした。ところが、一度のミスで壁に突き当たってしまったのです。節子さんは2回目の面談に訪れました。

私   : あなたにはカウンセリングが必要です。それは自分を見つめなおし客観的な自己を知ること。次には係長さんとの葛藤に、どう対応するかを考えます。私がサポートしますから安心してね。段階的に行いますので。

節子さん: 少しずつですね。わかりました。

44%が「つい笑顔を作ってしまう」、女子大学生調査

 周囲にうまく適応していくために、笑顔を身に付けるのは、処世術のひとつでしょう。私が135人の女子大学生を対象に行った「笑顔の調査」では、84%が「笑顔はいいことだ」と回答し、「つい笑顔を作ってしまう」という回答も44%ありました。作り笑いを浮かべることってありますよね。その時の質問のひとつで「笑顔の私と本当の私がわからなくなることがある」という方が19%いました。精神科医として気になるのはここです。

笑顔の下に過剰なストレス、「スマイル仮面症候群」

 精神科の診療を受けるほど病的なレベルではなくても、笑顔が習慣になってしまうと、自分の感情をはき出す場を失ってしまって、過剰なストレスを抱えてしまうことがあります。周りに好意的に見てもらいたいから、笑顔で明るさを演じます。仕事がうまくいかない時さえ、笑顔で防衛します。それが常態になると、自分で「笑顔」と「素顔」の区別がつかなくなってしまうのです。つらい話をする時にさえ笑顔になる節子さんもまさにその一人。学生だけではなく、社会人でも増えています。

 私は、「スマイル仮面症候群」と呼んでいます。節子さんの場合は、気づきと対応が必要だと考えました。

 次回(下)では、節子さんの心を解きほぐしていきます。みなさんもスマイル仮面があるかどうか、気づくためのチェックをしましょう。

スマイル仮面度をチエック!

 チェックリストは私の臨床経験や学生とのやり取り、文献を中心に作成しました。次回で触れますが、笑顔を意識していても、ストレスをため込まず、自分の感情を素直に出せる場や人間関係があれば心配はいりません。

 最後に今回のまとめ・本音トークを図の「マコトの一言」で締めくくります。

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夏目誠(なつめ・まこと)
 精神科医、大阪樟蔭女子大名誉教授。長年にわたって企業の産業医として従業員の健康相談や復職支援に取り組み、メンタルヘルスの向上に取り組んでいる。日本産業ストレス学会前理事長。著書に「中高年に効く! メンタル防衛術」「『診断書』を読み解く力をつけろ」「『スマイル仮面』症候群」など。ブログ「ストレス点数の夏目」はこちら

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1件 のコメント

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一つの場所や役割のストレスに潰されぬ様に

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

いつでも笑顔とか無理ですよね。 勿論、嘘の笑顔や明るさで乗り切らざるを得ない時もありますが、所詮、人間は人間です。 その辺の、ギャップをどういう...

いつでも笑顔とか無理ですよね。
勿論、嘘の笑顔や明るさで乗り切らざるを得ない時もありますが、所詮、人間は人間です。

その辺の、ギャップをどういう時間を作って乗り切るかが課題になります。
スポーツやギャンブルになぜ人は熱中するかと言えば、うまいこと偽装して感情を発散できるからです。

逆に言えば、行為であれ、物質であれ、依存する先をばらけた方が無難です。
まるっきり、金融の分散投資に似てますけどね。

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