認知症介護あるある~岡崎家の場合~
医療・健康・介護のコラム
母さんを目で追う父さん 「それは依存」の指摘にドキッ…若年性認知症の丹野智文さんに聞く(上)
認知症の人の本音を聞きたい!
このヨミドクターでコラムを連載中の丹野智文さんは、39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。度々、メディアの取材を受けているほか、全国各地に招かれて講演を行っているので、爽やかな笑顔を目にしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
その丹野さんと「認知症」をテーマに語り合う機会をいただきました。これまで認知症の人を介護する家族を数多く取材してきましたが、父さん以外の当事者とじっくり話をするのは、ほぼ初めてです。家族が知らない当事者の本音を聞きたい! でも、ダメ出しばっかりだったらどうしよう? ……期待と不安が渦巻く「認知症の人」と「家族」の対談のはじまりです(汗)。
家族が何でもやり過ぎる
岡崎 私の父は53歳で脳出血を起こして、若年性認知症になりました。それから21年。父も家族には言いづらいことがあるんじゃないかと思います。ぜひ、認知症の人の率直な気持ちを聞きたいです。
丹野 私自身はアルツハイマーですが、岡崎さんのお父さんのような脳血管性認知症の人もたくさん知っています。病気の違いにかかわらず、認知症の人の家族に共通しているのは、「何でもやり過ぎてしまう」ことです。
例えば、認知症の人と家族が参加する活動でお弁当が配られた時。家族が、当事者の分のお弁当のフタを開けて、割り箸を割って、飲み物のパックにストローをさして「ハイどうぞ」って。ちょっとやり過ぎだと思いませんか?
岡崎 過保護なんですね。
丹野 本人は、それぐらい自分でできる、自分でやりたい、と思っても、なかなか言えない。「自分が病気になったために、家族に迷惑をかけている」という気持ちが強いから。何でもやってもらっているうちに、それまでできたことさえ、できなくなっていく。自信をなくして、ますます自分ではできなくなるという悪循環です。
岡崎 母は「違うわよ~」と言うかもしれませんが、我が家では、病気になる前から、父は仕事ばかりで家や身の回りのことは全て母がやっていて、それがそのまま続いています。そういう世代なのでしょうが……。
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