大人の健康を考える「大人び」
コラム
不眠症(4)気道広げる器具や装置 お薦め
このシリーズでは、日本睡眠学会認定医で、上島医院(大阪府大阪狭山市)院長の渥美正彦さんに聞きます。(聞き手・古川恭一)
睡眠時無呼吸症候群を改善するには、いくつか方法があります。
まずは、横向きで寝ること。舌の付け根が気道をふさがなくなり、症状が軽減します。ただし効果が乏しい人もおり、横向きの姿勢は骨格に負担をかけることがあります。
肥満の場合は、やせれば改善が期待できますが、治らないケースも少なくありません。そもそも患者さんの3割は太っていません。
治療法としては、のどを広げる手術がありますが、症例が限られている上、1年で半数が再発するという課題も指摘されています。
このため、専用の器具や装置を使った治療をお薦めしています。一つは、下あごを前にずらして気道を広げるマウスピースを歯科で作り、寝ている時につける方法です。手軽なのですが、重症患者や肥満の人には効果が出にくく、不向きと言えるでしょう。
鼻にマスクをつけて空気を送り込み、気道を風圧で押し広げる「
ヒューヒューという装置の音や、マスクが気になって眠れないという人には、睡眠ホルモンを調節する軽い睡眠薬を服用してもいいでしょう。CPAPを使った50代男性が「まるで中学生の頃のようにぐっすり眠れる」と感激したほど効く場合があります。一度試してみてはいかがでしょうか。
【略歴】
渥美 正彦(あつみ まさひこ)
大阪市立大学医学部卒業。大阪警察病院、国立病院機構やまと精神医療センター、近畿大学医学部付属病院神経内科などを経て、2004年6月から上島医院。05年に同医院併設南大阪睡眠医療センター長。10年から同医院院長。