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「続・健康になりたきゃ武道を習え!」

コラム

筋力、スタミナ、自律神経… 空手でパワーアップ

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「姿勢が良い」と褒められる

 もう一つ、侑紀さんが空手のおかげだと感じていることは、「姿勢」の変化だ。

 玄樹君はどこに行っても、何をしても、「姿勢が良い」と褒められる。

 昨年、小3から小6までの十数人で「能」を習った時も、観世流の先生に姿勢と所作をとても褒められたという。

 たしかに近年、まっすぐ立てない子どもや若者が増えていると聞く。運動もせずに、座ってテレビゲームやSNSばかりやっていると、背骨の両脇にある筋肉「脊柱起立筋」が鍛えられず、ピンとした姿勢を維持することが難しくなってしまう。実際、コンビニ前でたむろしている若者たちを見ると、しゃがんだり、何かにもたれかかったり、まるで軟体動物のようにフニャフニャで、「骨、ないんかいっ!」とツッコミを入れたくなることがある。

(上)受けの基本稽古。玄樹君の背筋はまっすぐだ

(上)受けの基本稽古。玄樹君の背筋はまっすぐだ

(下)回し蹴りの時も猫背になったりしない(ともに撮影は鈴木竜三)

(下)回し蹴りの時も猫背になったりしない(ともに撮影は鈴木竜三)

 そういえば、昨年8月に代官山道場の稽古を取材した時、指導者の日比野さんは子どもたちに厳しく注意していた。

 「ここで姿勢を正しくできない人は、うまくなる確率ゼロだぞ! 絶対にうまくならないよ! 姿勢だけはずっと注意して、稽古してください」

 この言葉、私もまったくその通りだと思う。

 私がこれまで実際にお会いしてきた武道家や、テレビやDVDなどで見てきた武道家の中で、一流とみなされている人は、ほぼ例外なく姿勢が良く、動きが美しい。

左右の手足を満遍なく動かす 脱力は座禅と共通

 思うに、武道を続けて姿勢が良くなるのは、以下の理由があるのではないだろうか。

(1)空手は、野球やテニスのように片方の腕だけを酷使することは少なく、左右の手足を満遍なく均等に動かすため、左右の筋肉や骨格のバランスが良くなる。どちらかに偏っていないので、当然、姿勢は良くなる。

(2)素早く効率的に動くためには、全身に力が入っているようではダメ。背筋をまっすぐ、体幹をしっかりとさせたうえで、その他の部分は脱力しなければならない。脱力しているからこそ、相手の動きに合わせて爆発的なパワーが出せるのだ。座禅の姿勢と共通する点があり、そのまま美しい姿勢につながる。

 とはいえ、やはり漫然と稽古しているだけで姿勢が良くなるわけではないらしい。

 日比野さんは「姿勢だけは、初心者の時から意識させておかないと、後付けでは身につけることができません。私はそう確信しています」と言う。なるほど、そうかもしれない。突きや蹴りには様々な種類があり、その動作の時だけ意識して気をつけることができるが、姿勢は1時間の稽古なら1時間、ずっと「ついて回る」。猫背になっていたら1時間、猫背のままかもしれない。それが1年間続くと、そういう姿勢が身についてしまうわけだ。

 ということで、結論。

 空手を「きちんと意識して」続ければ、筋力、スタミナ(心肺機能)、自律神経が強化され、姿勢も良くなる――はずだ。(山口博弥 読売新聞編集委員)

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山口 博弥(やまぐち・ひろや) 読売新聞東京本社編集委員

 1962年福岡市出身。1987年読売新聞社入社、岐阜支局、地方部内信課、社会部、富山支局、医療部、同部次長、盛岡支局長、医療部長を経て、2018年6月から編集委員。同年9月から1年間、解説部長も兼務。医療部では胃がん、小児医療、精神医療、慢性疼痛、医療事故、高齢者の健康法、マインドフルネスなどを取材。趣味は武道と映画観賞。白髪が増えて老眼も進行したが、いまだにブルース・リーを目指している。

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1件 のコメント

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個と組織のchemistry 西医体

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

おかげさまで、医学生は夏の大会で優勝を手繰り寄せました。 直近ではSNSで、少し軽口やブラックジョークも飛ばしました。 あまりに、サッカーに集中...

おかげさまで、医学生は夏の大会で優勝を手繰り寄せました。

直近ではSNSで、少し軽口やブラックジョークも飛ばしました。
あまりに、サッカーに集中し過ぎると良くないと思ったからです。
その辺、サッカー以外も含めて、色々と考えていました。

それは指導なのか?

これは、人によって見え方が変わるでしょう。
何故かと言えば、自己の意味や感じ方が人によって状況によって大きく異なるからです。
普通の子供はその連続性が見えないから、気まぐれで、気分任せですよね?

毎日同じ道場に行っても、毎日が完全に同じなわけではなく、生徒も指導者も成長もあれば、気分や体調も違います。

その辺の、個と組織の雰囲気と表情を見ながら、チームの化学反応がうまくいくように考えていました。
自分の役割は化合物なのか触媒なのかリトマス試験紙なのか?

自主性と能力があれば、僕の間違いや勘違いを部員が修正をかけることもできますし、誰かと競ったり、良い所を見せようとすれば成長速度は速まります。

医学生がプロ選手以上になる事を求めている人は極めて少ないと思いますが、そのプロセスが良い医師を作るのであれば是とされるでしょう。
ある意味で、日本社会への「ちょうせん状」でもありますし(平仮名にすることにも意味があります。)、勉強と仕事とサッカーしかわからない自分が孤独にならないためのエゴでもあります。

さて、大会は終戦記念日を挟みましたが、日常があってスポーツや武道ができますね。
平和が当たり前なのか、そうでないのかはわかりませんが、痛みや敗北から学ぶことの方が多いようにも思います。

姿勢の話も同じで、あるいは、あんまり厳しく言わずに、気づいた時でいいのかもしれません。
その代わり、思い出したときはいつも口に出す必要があります。
途切れても、また続ければいいというより多くの人へのメッセージにもなります。

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