40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかる
医療・健康・介護のコラム
年金が2000万円足りないって本当? 定年後は「夫婦でアルバイト」のリアル
定年後は月8万円稼げれば十分
では、どうしたら良いのでしょうか? 定年後の生活に詳しい経済コラムニストの大江英樹さんは、「定年後は月8万円稼ぐことができれば十分だ」と、おっしゃっています。
実は、大江さんは、私が初めてお会いした「リアルに定年後のお金の話をしてくれる人」でした。お会いしたのは5年ほど前。そのときの「月に20万円くらいあれば、普通に生活できますよ」という言葉が、強く印象に残りました。そして痛感したのです。自分にとって、老後の不安がどれほど「漠然としたもの」だったのかということを。
マネーの取材をしていれば、「市場ワーキング・グループ」の報告書に書かれるずっと以前から、「老後は2000万円足りなくなる」だの「老後は3000万円必要」だのといった話は、イヤと言うほど耳に入ってきました。普段の生活とはケタが違う数字のオンパレードに、老後を考えることは 憂鬱 でしかなくなっていました。だから、考えようとしていなかった……マネーライターでありながら、です。
けれども、大江さんから「月20万円」という身近でリアルな数字を示してもらったこことで、老後を現実的に考えられるようになりました。私が、将来への準備として、今の生活費から教育費を「摘出」して想定する「エア老後」の取り組みを始め、皆さんにおすすめするようになったのも、その影響です。
「老後が不安なら、老後をなくせばいい」
大江さんは、「老後が不安なのだったら、老後をなくせばいい」ともおっしゃっています。老後をなくすというのは、定年後も働き続けるということ。「老後とは、働くのをやめたところから始まる」のだそうです。なるほど!
たとえば、冒頭の数字「夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円」を使って考えるなら、1人月3万円、夫婦で月6万円を稼ぐことができれば、赤字にはならない計算になります。これとは別に、予備費として2万円ほど積み立てることができれば、気持ちの余裕にもつながるでしょう。前述した「定年後は月8万円稼ぐことができれば十分だ」という言葉にリアリティーを感じます。
学生時代にアルバイトをしていた感覚で、夫婦で小遣い稼ぎの仕事をすれば何とかなる。きっと私たちが老後を迎える頃には、そんなシニアがたくさんいることでしょう。そう考えると、随分と気が楽になりませんか? (楢戸ひかる マネーライター)
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