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渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」

医療・健康・介護のコラム

定期検診を受けているのに歯周病が悪化した なぜ?

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長年、歯科医の間でも歯周病への関心は低かった

 武田さんは30年ほど前に開業しましたが、「大学を卒業しただけでは歯周病の診療は知識がなくてできませんでした」と振り返ります。自腹を切って、国内外の研修に参加して技術を身につけてきたそうです。当時は、歯科と言えば虫歯の治療が中心で、歯科医の歯周病への関心は低かったと言います。「歯周病は歯ブラシをやっておけばいいんだよ」と口にする先輩歯科医も多かったそうです。歯ブラシだけでは歯石は除去できず、歯周病は悪化してしまいます。

 「社会的にも歯周病への関心が高まってきたのはここ4、5年のことですね。私が歯周病の専門医と知って受診されたり、他の歯科医から患者さんを紹介されたりするようになりました」と話しています。

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二階堂雅彦さん

 先に挙げた二階堂歯科医院院長の二階堂雅彦さんは、アメリカの大学院に留学して歯周病治療を学びました。歯科大学卒業後の1980年代初め、当時の自分の知識や技術で歯周病を治療しても改善しないことに疑問を感じ、留学して歯周病治療の専門教育を受けたのです。「歯の根の歯石を取る治療をしている時も、指導教員が横について、『もっときれいに』と指導されるわけです。歯周病は歯の根を徹底清掃してこそ改善することをアメリカで学びました」と振り返ります。

 武田さんは現在、歯周病を専門にする開業医の学術団体、日本臨床歯周病学会初の女性理事長を務め、二階堂さんも理事長の経験者で、2人は日本の歯周病治療の先導役でもあります。2人の話をおうかがいすると、日本の歯科の世界では、長い間、全般に歯周病への関心が低かったことがうかがわれます。

歯周病があっても、見て見ぬふりの歯科医も

 その結果、「歯周病治療に関しては、歯科医の温度差は大きくて、積極的な歯科医もいれば、見て見ぬふりのところもあるのです」と二階堂さんは言います。意欲の乏しい診療所を定期受診しても、ある日、歯茎が腫れて、歯が揺れているのに気づくことになりかねません。

 筆者も1年余りの間に体験取材のつもりで、3軒の歯科診療所で歯周病の検査を受けてみました。プロービングの結果、3ミリから5ミリの歯周ポケットがいくつか見つかり、エックス線検査では少し歯槽骨が減っている所がありました。歯周病です。

 「歯磨きとフロスをちゃんと身につけて、歯茎の中の歯石を取れば良くなります」と検査後の説明で、今後の治療の手順の説明を受けた診療所もあれば、「歯周病はだいたい大丈夫です」の一言で終わったところもありました。いずれの歯科医院もホームページでは「予防歯科」に触れていたのですから、歯周病への温度差の違いを実体験しました。

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渡辺勝敏(わたなべ・かつとし)
読売新聞記者(メディア局専門委員)。1985年入社。 秋田支局、金沢支局、社会部を経て97年から医療を担当。2004年に病院ごとの治療件数を一覧にした「病院の実力」、2009年に医療健康サイト「ヨミドクター」を立ち上げた。立命館大学客員教授。

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