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本田秀夫「子どものココロ」

コラム

「人をなかなか信用しない子」も「過剰になれなれしい子」も…親から虐待された子どもに表れがちな「愛着形成」の異常

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 親から虐待を受けた子どもたちには、高い確率でこころの問題が生じます。幼児期から顕著になる場合も多いのですが、学童期から思春期にかけて問題が深刻になる場合もあります。成人して以降も、何らかのこころの問題が持続することは、しばしばあります。

「人をなかなか信用しない子」も「過剰になれなれしい子」も…親から虐待された子どもに表れがちな「愛着形成」の異常

イラスト:高橋まや

愛着の形成不全には二つのタイプ

 乳幼児期の子どもが親から虐待を受けると、「愛着(アタッチメント)」という心理機能の形成に異常をきたしやすくなります。愛着とは、養育者など特定の人に対する特別な情緒的な結びつきのことです。自分の欲求を満たしてくれ、そばにいるだけで安心感を得られるような、いわば「心の安全基地」のような存在があることによって、子どもは安定した情緒発達をとげることができると考えられています。本来なら安全基地になるはずの親から暴力を受けたり、 罵倒(ばとう) されたりし続けると、愛着形成はうまくいきません。

 虐待が原因で愛着形成がうまくいかない場合、幼児期以降の対人関係において、大きく二つのタイプの問題が起こり得ます。

 その一つは「反応性アタッチメント障害」です。抑制傾向が強いタイプで、「楽しさや喜びを他者と共有しようとしない」「嫌なことがあっても他者に慰めを求めようとしない」「用心深くて他者をなかなか信用しない」などが特徴です。

 もう一つは「脱抑制型対人交流障害」といい、対人距離が近すぎるタイプです。知らない大人にも警戒せずに近づいたり、過剰になれなれしく言葉をかけたり、ついて行ったりします。情緒的に不安定なタイプです。

 これらの問題があると、同世代の仲間と安定した交流が難しくなるため、集団生活のなかでトラブルが生じやすくなります。

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本田秀夫(ほんだ・ひでお)

 1964年、大阪府豊中市生まれ。精神科医。信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授。同学部付属病院子どものこころ診療部長。日本自閉症協会理事。著書に「自閉症スペクトラム」など。

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1件 のコメント

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被虐待児や極端な経験を持つ人間のジレンマ

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

極度に信用しないということも、極度に馴れ馴れしいということも、極端という意味では共通です。 成長過程でどうあるべきか、TPOに合わせて使い分けら...

極度に信用しないということも、極度に馴れ馴れしいということも、極端という意味では共通です。
成長過程でどうあるべきか、TPOに合わせて使い分けられるか、生存と密接に繋がっていくの発達過程での修正も難しいですね。

そういう性質や環境も職業選択の為の一つの基準です。
自分の性格にあった仕事を選ぶべきか、仕事に合わせて性格や人格をある程度調節するか?

自分も基本的には内向的だったはずですが、仕事のために取り組んで新しく作った人格や表現が、スポーツなどでも生かされることもあり、なかなか面白くもあります。
普通は初対面の人間にいろいろ聞いたり、べたべた触ったりしませんし、フィルムを冷静に診ません。
けれども、最終的に嫌われても怖がられても、仕事では短時間でコミュニケーションをとって、診断なり治療なりの決定を下してもらわないといけない。
今は、患者さんサイドもある程度標準医療の情報にアクセスは可能ですし、常識と大幅にかけ離れた医療はまず難しいでしょう。

もっとも、その常識という言葉で表される感覚も人それぞれ、地域それぞれ、世代それぞれで、専門化が進み過ぎる現代医療に危惧を覚えます。
20歳やそこらで、大学や大学院に缶詰になって、自分たちの仲間内意識や友達感覚を大事にし過ぎることが、様々な世代の一般人とのコミュニケーションに妨げにならないか?

もし仮に、そんなにうまくいかなくても、お互いに表現や感情の行き違いがあるということをよく理解するだけで、多少はうまくいくのではないかと思います。
そういう中で、部活やバイトの時間が無くなるほど、タスクが重たくなっていくカリキュラムにならないようになってほしいとは思います。
関連職種も一緒で、専門技術以前の人間的な問題が多くのケースで関与しています。

戦前の軍隊や戦後の占領に連なる社会構造の問題の中で、過去や制度との向き合い方も大事です。

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