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フィンランド最新診療(1)テレビ電話で服薬管理
フィンランドの首都ヘルシンキにあるビルの一室。机ごとにパーティションで区切られた小さな“個室”で、ヘッドホンとマイクを付けたオペレーターがパソコン画面の向こうにいる高齢者に話しかけている。
「今日の調子はどう?」
「顔色もいいね」
ヘルシンキの学校給食や清掃サービスなど幅広い業務を担う公的企業「ヘルシンキサービスセンター」で、遠隔ケアに携わる看護師や准看護師たちだ。同市周辺に住む高齢者や体の不自由な人が自宅で安全に過ごすため、IT技術を活用したケアを実施している。
高福祉で知られるフィンランド。看護や介護が必要な人たちへの支援も手厚く、市の福祉当局が、身体や認知機能の状態から必要と判断すると、主に家庭訪問によるケアをしてきた。
とはいえ近年は日本と同様、少子高齢化が急速に進み、対象者の増加とともにケア人材の不足が見込まれている。解決を目指して2014年から、テレビ電話システムによる遠隔ケアを本格的に導入した。
遠隔ケアの主なサービスは、高齢者の服薬管理だ。薬を飲む時間になると、センターにいるオペレーターが、高齢者の自宅にあるタブレット端末を遠隔操作で起動する。高齢者が応じることでテレビ電話がつながる仕組みだ。
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