Dr.イワケンの「感染症のリアル」
医療・健康・介護のコラム
「まじでやばい」チクングニア 知っておきたい海外の感染症
一定の割合で重症化。死亡例も
チクングニアは一般的に自然に治る病気です。が、たくさんの人がかかると一定の割合で重症化します。前述の米国の例では、4000人近い発症者のうち18%が入院を必要とし、4人が死亡しました。あまり、油断してはいけませんね。
ちなみに、チクングニアは感染症法における全数報告対象の4類感染症です。ま、もっとも届け出たからといってなにか特別な公衆衛生上の対策があるわけじゃないのですけどね。患者さんは病気を広げないよう、蚊に刺されない工夫は必要ですが、人から人には感染しないので家族や友人、職場の方はそんなに心配しなくて大丈夫です。
虫よけにはディート(DEET)の塗布を
先進国でも途上国でも、海外に行くときはいろんな感染症対策が必要です。蚊に刺されないのも大切なことです。具体的な方法としては、肌の露出をできるだけ避けるとか、ディート(DEET)という虫よけを定期的に使うのが大事です。
DEETの効果はその濃度で分かるのですが、20%のDEETで1~3時間おきに塗り直すと効果が高いです。30%なら5時間以上効果があります。昔は、日本では濃度の高いDEETがなかったので、途上国に行くときは「現地調達」でした。最近、ようやく高濃度のDEET入り虫よけを売るようになりました。空港などでも売っていてとても便利です。
DEETは2か月以上のお子さんなら(短期的に使えば)安全に使えます。授乳中だったり、妊婦さんにも大丈夫とありますが、妊娠している間はあまり海外には行かないほうがいいと思います、まじで。
ちなみに、蚊を寄せ付けないブレスレットとか、サプリメントとか、超音波などを発する電気製品とか売っていますが、 概 ね効果は確認されていません。使わないほうが賢明です。(岩田健太郎 感染症内科医)
参考
チクングニア熱とは [Internet]. 国立感染症研究所. [cited 2019 Jul 23]. Available from: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/437-chikungunya-intro.html
Silva JVJ, Ludwig-Begall LF, Oliveira-Filho EF de, Oliveira RAS, Durães-Carvalho R, Lopes TRR, et al. A scoping review of Chikungunya virus infection: epidemiology, clinical characteristics, viral co-circulation complications, and control. Acta Tropica. 2018 Dec 1;188:213-24.
Prevention of arthropod and insect bites: Repellents and other measures – UpToDate [Internet]. [cited 2019 Jul 23].
効かない虫よけグッズに要注意!? 間違いだらけの「蚊よけ」対策 [Internet]. ニコニコニュース. [cited 2019 Jul 23]. Available from: https://news.nicovideo.jp/watch/nw2191390
2 / 2
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。