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Dr.イワケンの「感染症のリアル」

コラム

「まじでやばい」チクングニア 知っておきたい海外の感染症

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聞き慣れない名前のウイルスですが…

「まじでやばい」チクングニア 知っておきたい海外の感染症

 チクングニアというのは聞き慣れない名前だと思います。病気の名前でもあり、ウイルスの名前でもあります。日本にはチクングニア・ウイルスは存在しません。よって、これは「海外の病気」となります。

 さて、夏休みで海外にお出かけの方も多いと思います。近年、海外からたくさんの外国の方がおいでになるようになったのはご存じの通り。来年のオリンピック・パラリンピック、その後行われる万国博覧会。この傾向にはさらに拍車がかかることでしょう。

 とにかく海外に行く人、海外から来る人が多いこの時代に、外国の感染症の知識は欠かせません。ですから、これまではなじみのなかったこういう感染症も、ぜひ頭の 何処(どこ) かに入れておいていただきたいのです。

 いや、まじでやばいんですよ、近年のチクングニア。

ヤブ蚊が媒介。デング熱との同時感染も

 もともとチクングニアは1952年にアフリカのタンザニアで見つかったウイルス感染症です。ヤブ蚊に刺されることでウイルスに感染します。

 ヤブ蚊が媒介する感染症としてはデング熱が有名ですが、実はデング・ウイルスとチクングニア・ウイルスが同時に感染することも珍しくありません。よって、デング熱を疑ったら、チクングニアも一緒に調べたほうがいいです。

 当初はアフリカの病気と思われていましたが、ほどなくアジアなど熱帯地方のあちこちで流行していることがわかりました。その後、2007年にイタリアで、2013年以降に南北のアメリカ大陸で流行が起きて、世界中でチクングニアが猛威をふるっていること、その活動範囲がどんどん世界的に広がっていることが分かりました。

 たとえば、米国では2014~16年の間におよそ4000例のチクングニアが診断されています。日本にもチクングニアを媒介するヤブ蚊がいますから、ウイルスを持ち込まれたら流行してしまう危険があるのです。 米国CDC(疾病対策センター)が作ったマップを見ると、南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界中でチクングニアが広がっているのが分かります

激しい筋肉痛や関節痛が続くことも

 ちなみに、チクングニアを媒介するヤブ蚊は上述のデング熱やジカ熱のウイルスも媒介しますから、なかなか厄介です。

 発症は蚊に刺されてから1週間以内に起きることが多いです。最初は熱とか倦怠けんたい感といった、これといった特徴のない症状が出ます。熱は10日以内に自然に下がります。特別な治療薬は存在しません。

 で、チクングニアの厄介なところはその後です。一定の患者さんで筋肉痛とか関節痛が体のあちこちに起きるのです。これが、痛い。とても痛い。体を動かすの (つら) いくらい、痛い。

 実は「チクングニア」という名前は、アフリカの言葉で「曲がる」とか「前かがみに歩く」というような意味なんだそうです。あまりの関節の痛みで体をねじ曲げてしまう、ということで、この病気の特徴をよく表現しています。痛みは数週間、場合によっては年の単位で続くこともあるのです。他にも、皮膚のぶつぶつや腹痛、頭痛などいろんな症状も見られます。

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岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

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