思春期の子どもを持つあなたに 関谷秀子
医療・健康・介護のコラム
第7部 ヒステリー(転換性障害)(上)原因不明の足の異変、そして不登校。母親には甘えながらも、暴言を吐き、包丁を向ける中2女子
大人になる過程での不安がヒステリーへと
娘の様子を見かねた母親が、注意をしたり、叱ったりしようとすると、今度は自分で自分の体をたたいたり、包丁で自らを傷つけようとするそぶりを見せるようになりました。
そんなときに母親は、A子さんを抱きしめたり、膝に乗せたり、一緒に布団に入って眠ったりと、気持ちがおさまるまで一緒にいることを続けていました。毎日のように、それが繰り返されると、徐々に母親は疲れ果てていきました。あまりにも濃密な母娘関係から、二人は抜け出すのが困難な状態に陥っていることが理解できました。
私はA子さんの失立失歩はヒステリー症状ではないかと考えました。
日常的にヒステリーとは、感情的になりやすく、興奮して騒ぎ立てる人などに使われることが多いのですが、医学的にはそうではありません。さまざまな精神的葛藤やフラストレーションが、身体症状として表れることをヒステリー(転換性障害)と言います。
私は母親にこう伝えました。
「思春期のA子さんは、大人に成長していく道筋で、どうしたらいいのかがわからない漠然とした不安を抱え、途方にくれているようにも見えます。そこから逃れるためにお母さんとの世界に埋没しているのではないでしょうか。そんな自分の不安を、言葉ではなく、一人で立って歩くことができないという身体症状を通して表現しているのだと思います」
そこで、母親に対して、親ガイダンスを提案し、母親も同意しました。
目的は、「A子さんの失立失歩、それに暴言や暴力に隠れている気持ちや不安を理解すること」「娘が自分の気持ちを、きちんと言葉で伝えられるように母親が手助けできるようになること」です。
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