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「家」が支え(1)救われた孤独な生活

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「家」が支え(1)救われた孤独な生活

「愛子ハウス」のスタッフと飲み薬の確認をするカツさん(左)。スタッフは夜も常駐する(仙台市で)=武藤要撮影

 元の住まいを火災で失ったことで、カツさん(59)は、健康を支える「家」を得ることになった。

 6畳間で蚊が飛び回る昨年8月の昼、カツさんは、宮城県の町営住宅を出た。30分ほど自家用車のクーラーで涼んだ。万年床になった湿った布団のそばで、蚊取り線香がたかれていた。

 布団が燃え、あっという間に隣の4畳半をのみ込んだ。両親の 位牌いはい や貴重品を持ち出そうと、はだしのまま居間に飛び込んだ。熱せられた乾電池を踏み、両足の裏をひどくやけどした。救急車が呼ばれ、仙台市の病院に運ばれた。

 カツさんは県内の中学校を卒業後、左官や水道工事、土木や草刈りなどの仕事を転々とした。どこにいても、いじめがついて回った。

 「ママゴトすに来てんじゃねぇぞ」「もう、来っことねぇぞ」。上司や先輩に何を言われても口答えはしない。けんかをしたら負けるからだ。疲れて戻った住まいには、認知症が進んだ父だけがいた。助言してくれる人がおらず、父は一切の行政サービスを受けていない。テレビ画面でマージャンゲームをする時間だけは、心が安らいだ。

 その父も昨年5月に亡くなり、貯金が底をついたカツさんは生活保護を受給した。働く気はうせていた。もう、一人でいい。一人が気楽だ――そう思い始めた頃の火災だった。

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