文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

ニュース・解説

心不全 自己管理ノート…病状点数化 受診促す

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
心不全 自己管理ノート…病状点数化 受診促す

心不全患者(左)にハートノートを説明する医師(大阪市都島区の市立総合医療センターで)=諏訪智史撮影

 心臓のポンプ機能が弱った心不全患者に、脈拍や体重などの異常を点数で記録してもらう「ハートノート」を渡し、症状悪化時の早期受診を促す取り組みが、大阪の病院で広がっている。

 患者自身が受診の緊急度を簡単に把握できるとあって、治療の遅れによる入院を回避できた例も報告されており、心不全の進行を防ぐ「大阪モデル」として全国への普及を目指す。

大阪の医師考案…全国へ普及目指す

id=20190716-027-OYTEI50016,rev=6,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 ノートはA4判で、▽安静時の息切れや息苦しさは5点▽むくみによる急な体重変化は3点――などのように、日々の体調を点数で約30週間記録できる。1日の合計点から緊急度が一目で分かり、例えば5点以上なら、すぐに救急外来を受診するよう求めている。

id=20190716-027-OYTEI50017,rev=6,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 点数による体調管理法を考案したのは、北野病院(大阪市北区)の中根英策・心臓センター副部長(46)。心不全患者は、退院後も通常1~2か月ごとに通院するが、次回受診までに症状が急変し、治療が遅れて再入院を余儀なくされるケースも多い。

 そこで「自分の病状を簡単に理解できる指標があれば、重症になる前に受診してもらえる」と、2013年に同病院で運用を開始。大阪市内の医師らでつくる「大阪心不全地域医療連携の会」が17年、このアイデアをもとにノートを作製し、普及に乗り出した。

 「入院を繰り返していた患者さんが、再入院せずに済んでいる」。市立総合医療センター(都島区)の阿部幸雄・循環器内科副部長(50)は手応えを語る。

 心不全で過去3度の入院歴がある80歳代女性に2年前、ノートを勧めたところ、症状悪化の兆候があればすぐに投薬治療を受けるようになり、その後は再入院していないという。阿部さんは「点数を見て自ら受診していなければ、再入院の恐れがあった」と振り返る。

 他の病院からも、▽過去8度の入院歴がある50歳代男性が、体重増加に気付いて次回通院日を待たずに受診し、症状改善▽自覚症状がなかった90歳代女性が、点数の増加に気づいた介護職員に受診を促され、早期治療で再入院を回避――などの事例が報告されている。

 ノートはこれまでに大阪市内の7病院と、大阪府南部の2病院が導入し、計800人以上の患者が利用。堺市や大阪府東大阪市などの病院も導入予定だ。ノートを利用することで再入院のリスクが約4割低下したという分析結果もあり、他府県の病院からの問い合わせも増えているという。

 大阪心不全地域医療連携の会代表幹事で竹谷クリニック(都島区)院長の竹谷 さとし さん(54)は「ノートの活用により、病院の垣根を越えて同じ指標で患者を指導できる。地域全体で心不全患者を減らしていきたい」と意気込む。

  日本心不全学会理事の北風政史・国立循環器病研究センター臨床研究開発部長の話 「患者が自分の体調を積極的に把握でき、スムーズな受診を促せる点で非常に良い取り組みだ。再入院する前に治療できれば医療費削減にもつながるため、普及を期待している」

心不全  心機能が低下し、全身の疲労感や息苦しさなどの症状が出る状態で、むくみによる体重増加も起こりやすい。心筋 梗塞(こうそく) などの心臓病や高血圧が原因となる。心臓の負担を減らす薬はあるが、根本的な治療は難しい。国内の推定患者数は100万人以上。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事