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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語

コラム

手術から1年4か月 ついに妊活へGO!…進歩する移植医療が人生をひらく

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 スティービー・ワンダーさんが今月、腎移植手術を9月に受ける予定であることを発表した。幼い頃から彼の音楽を愛してきた私は、ニュースを見るなりホッと胸をなでおろした。昨年3月に夫から腎臓を一つ分けてもらう腎移植を受け、自らの体でその効果を体現しているからこそ、ワンダーさんが笑顔でステージに戻ってきてくれると信じられるのだ。

 ワンダーさんの歌声を、また聴きたい。その歌声から、腎移植について多くの人に理解してもらえるのではないかと、ほのかな期待を寄せている。

スティービー・ワンダーさんの「問題ない」には根拠がある

休日は夫婦で上野の美術館へ。芸術を通して互いの価値観に触れたい

 ワンダーさんは、ファンに向けて何度も「問題ない」と強調したそうだ。その言葉を私が信じるのには、根拠がある。腎移植医療の近年の進歩は、以下の数字が物語っている。日本移植学会の「ファクトブック2018」によると、1983~2000年のデータでは生体腎移植の5年生存率は93.5%、10年は88.7%だったのが、01~09年ではそれぞれ96.0%、92.0%に上昇。献腎移植(脳死、心停止と診断された方からの臓器提供)も同様に、1983~2000年のデータでは5年85.8%、10年78.7%だったのが、01~09年ではそれぞれ89.2%、81.4%と、以前と比べ成績は伸びているのだ。

 それにもかかわらず、腎移植医療はあまり普及していない。透析患者が約33万人(2017年実績)いるのに対し、腎移植件数は年間1700件程度と、その数わずか200分の1に過ぎない。

医療費に助成 自己負担額は数万円

 そんな実態を語ると、「手術費が高いんでしょう?」と言われることがあるが、それは誤解だ。差額ベッド代を除き、公的医療保険が適用されるほか、各種医療費助成制度が利用できるため、多くの場合、患者の自己負担額は数万円にとどまる。

 実際、わが家はごく一般的なサラリーマン家庭だし、やはりお金のことが気になって、医師に「手術費用はおいくらほどでしょうか。私に支払えるのかしら……」と相談したことがある。その時、医師のキョトンとした顔を見て、「あなたは生きていいんだよ」と世の中に肯定してもらえた気がした。日本では、どんな境遇でも移植医療を選択することができるのだ。

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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1件 のコメント

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先週手術でした

キドニー

私もこの8/8に夫がドナーの腎移植手術を受けました。経過は良好です。 アルポート症候群による腎障害で8歳から闘病が始まりました。 現在55歳で、...

私もこの8/8に夫がドナーの腎移植手術を受けました。経過は良好です。
アルポート症候群による腎障害で8歳から闘病が始まりました。
現在55歳で、あと20年早かったら子作りもできたかもしれないと欲張ってしまいますが、諦めていた明るい未来を開いてくれた夫とスタッフの皆さんに感謝する毎日です。

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