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コラム

真面目な人ほど苦しむ不妊治療と仕事の両立 厚労省が企業向けマニュアル策定へ

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両立支援へ休暇制度導入を促す

 不妊治療と仕事の両立支援のために厚生労働省が今年度、初めて企業に働きかけることが明らかになりました。まだ詳細は発表されていませんが、報道によると、両立を支援するための企業向けマニュアルを策定する方針で、そのマニュアルは両立が可能となる休暇制度などの導入を企業に促す狙いがあるそうです。

 このコラムでも昨年の春、「やめたくてやめるわけではない『不妊退職』」としてこの話題を取り上げました。国がようやく、この課題に向けて動き始めてくれたのは、大変喜ばしいことです。この事業はまだ始まっていませんので、その行く末はこれから見守ることとして、今回のコラムでは、今現在も変わらぬ課題である「不妊治療と仕事の両立」についてお伝えしたいと思います。

 販売職のYさん(41)は2年前に結婚し、その半年後から不妊治療を始めました。「以前、検診で子宮筋腫があると言われて、子どもができるか心配だったので」とYさん。夫は「そんなに早く(不妊治療を)始めなくてもいいのでは」と反対したそうですが、年齢も気になるし、どうしても早く妊娠したいからと押し切ったそうです。クリニックでは、まず筋腫を取った方がよいとの診断で、手術を受けてから不妊治療を開始したそうです。

 「筋腫さえなくなれば、すぐに妊娠できると思っていました。でも、ぜんぜん妊娠できないし……」。治療は、ホルモン値を測って排卵日を特定し、その日に夫婦生活を持つ「タイミング療法」から開始し、それでは妊娠しなかったため、ほどなく、マスターベーションで採取して処理した精子を女性の子宮に注入する「人工授精」に進みました。しかしそれでも妊娠できず、今度は卵子も手術で採取し、体外で受精させて発育させた受精卵を子宮内に戻す「体外受精」へ進むことになりました。

「職場に迷惑かけるぐらいなら、キッパリやめた方が……」

 これをきっかけに、Yさんは「両立できないだろうから、仕事をやめようかどうしようか迷っている」と言います。私は驚いて「でも、まだ体外受精は始まってないんですよね。今すぐにやめるのはちょっと早いような……。これまで、すでに仕事に支障があるんですか?」と尋ねると、これまでの治療ではさほど通院も必要なかったので、有休をやりくりしてなんとかなっていたとのこと。

 しかしYさんは「体外受精は頻繁に通院しないといけないし、急に休まないといけないこともあるんですよね? 今の職場は人がギリギリなので、シフト以外で急な休みを取るのはちょっと……。1人欠けるときついんです。迷惑かけるぐらいなら、最初からキッパリやめて、治療に専念した方がいいかと思って」と言います。今の職場でチーフを務めており、責任を果たせないなら仕事を続けるべきではない、という考えのようです。

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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