医療大全
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皮膚がん(3)メラノーマ 治療法に進歩
1日にさばく切り身は800枚。神奈川県海老名市の内藤広行さん(70)は、鮮魚店の3代目。店主を長男に譲ったが、調理台で魚をさばき続ける。「まだ息子には負けないよ」。5年前、悪性黒色腫(メラノーマ)で余命6か月と告げられたとは思えない回復ぶりだ。
2009年秋頃、左足の親指の爪に紫色の筋があるのに気づいた。半年以上たっても消えないので皮膚科にかかると、大学病院を紹介された。検査でメラノーマと診断され、翌日に手術で親指を切除した。
メラノーマは、皮膚の色やほくろに関係する細胞ががん化したものだ。ほくろと違い、形は左右非対称で大きく、縁や色にむらがある。足の裏や爪先にできることが多い。他の臓器などに転移しやすく、悪性度の高いがんとして知られる。
手術時に転移はなく、担当医の「90%(の確率で)治りますよ」の言葉に安心した。だが14年5月、定期検査で骨盤のリンパ節と肺に転移が見つかった。
「効果は期待できませんが、抗がん剤をやりましょう」。無責任にも聞こえる担当医の言い方に、「効かないのにやるんですか?」と強い口調で聞き返した。「しなければ余命6か月です」。この医師のもとで、納得のいく治療が受けられるか疑問が芽生えた。
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