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渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」

コラム

歯をあまり削らない虫歯治療は広がっているか

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コンポジットレジンは強すぎないのも長所

 コンポジットレジンの強度が高まったと言っても、銀歯やセラミックほどではありません。歯ぎしりやかみしめがある場合や、強くかむ奥歯では厳しいと指摘する歯科医もいます。筆者自身、クラウンが欠けて修復してもらったことがあります。

 田上さんは「削れたり欠けたりすることがあっても、その都度簡単に修復できるのもコンポジットレジンの長所と考えています」と弱点を逆に強みとして捉えています。銀歯やセラミックは硬いので、向かい合う対向歯を傷めてしまうことがありますが、そこまで硬くないレジンなら歯を傷めてしまう心配はないとも言います。

 患者が材料の特性を理解した上で選ぶなら、虫歯治療の有用な選択肢になるだろうと思います。問題は費用です。

自費診療で取り扱う歯科医も増えている

 コンポジットレジンの品質が良くなったことで、自費で行う診療所も増えています。顕微鏡を使って、自然の歯のように精密に仕上げる歯科医もいます。田上さんは言います。「この分野は世界で日本がリードしていますが、削る範囲が小さいMI治療が可能とあって、最近はアメリカでも関心を持つ歯科医が増えています」。田上さんの研究室出身者がアメリカの大学で准教授として教育と臨床に当たっているそうです。事情を理解した歯科医がコンポジットレジンの治療を受けに来るケースもあるようで、アメリカでも“貧乏人の治療”ではなくなってきているのかもしれません。

 自費となると、気になるのは治療のお値段。強度が高まったと言っても、強くかんだりする部位では欠けることがあります。そこで5年保証や10年保証をつけて、その間にトラブルがあったら無料で何度でも修理するという料金制度を設けている歯科医もいます。 「削らない虫歯治療の最新事情」 という記事で触れました。コンポジットレジンを使った様々な治療も紹介しています。料金のシステムは診療所によってそれぞれです。

 削る範囲を小さくできる方法として、歯科治療の可能性を広げているコンポジットレジンですが、安い保険診療と値が張る自費診療のはざまで今ひとつ利用のバリエーションが定着していない印象もあります。治療の選択肢のひとつとして、広がってほしいと思います。

 (読売新聞記者 渡辺勝敏)

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★【完成版】しあわせの歯科医療2 300-300

渡辺勝敏(わたなべ・かつとし)
読売新聞記者(メディア局専門委員)。1985年入社。 秋田支局、金沢支局、社会部を経て97年から医療を担当。2004年に病院ごとの治療件数を一覧にした「病院の実力」、2009年に医療健康サイト「ヨミドクター」を立ち上げた。歯科については歯茎や歯根があやしくなってきた10年来、患者としても関心を持たざるを得なくなっている。立命館大学客員教授。

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