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僕、認知症です~丹野智文45歳のノート

コラム

「認知症でも」働ける? いいえ、「認知症だから」働ける!

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クリニックで患者と面談

 会社では、ミスを防いで着実に仕事を進めるため、2冊のノートを駆使し、独自のやり方を作りあげて働いていました。本人の工夫と周囲の理解があれば、認知症になっても働けるということを証明できたと思っています。

 一方、講演を中心とした今の活動は、認知症の当事者である私だからこそ、できる仕事です。これまでにも増して、大きなやりがいを感じています。

 私だけでなく、認知症の人がそれぞれの能力を生かして働けるようになったら、いいと思いませんか? 私は、「認知症だからこそできる仕事」を作りたいと思い、新しい活動をスタートしました。

 仙台で私と一緒に認知症関連の活動に取り組んできた、医師の山崎英樹先生と石原哲郎先生のクリニックで、診察を終えた認知症の患者さんや付き添いの家族と私が面談をするのです。面談といっても堅苦しいものではなく、主に私自身の経験を話したうえで、相手に心配や困りごとがあれば、相談に乗る……という感じです。

 「認知症」と診断されれば、最初はショックを受けることもあるだろうし、不安になるかもしれません。病気については医師から説明があると思いますが、日々の暮らしがどうなっていくのかは、全く想像がつかないのではないでしょうか。

 アルツハイマー病などによる認知症は、すぐに進行するわけではありません。周囲の人たちとつながり、適切な治療と支援を受けながら、いきいきと暮らすこともできるのです。それを伝えるには、6年前に診断を受けた私が、今も笑顔で元気に過ごしていることを知ってもらうのが一番です。

ピアサポートを仕事にしたい

 病気や障害を持つ人を、同じ立場の人が支援することを「ピアサポート」といいます。認知症の人のピアサポートは、認知症になったからこそできる仕事です。

 クリニックでのピアサポートは、1年ほど前に私が1人で始めた活動ですが、少しずつ仲間が増え、現在は私のほかに5人くらいが交代で参加してくれています。クリニックで出会う患者や家族は、最初は暗い顔をしていますが、私たちと話す間に表情がほぐれ、笑顔を見せるようになります。そんなふうに人を変える力が、認知症の当事者にはあるのです。

 寄付金や助成金を集めて、ゆくゆくは賃金を支払うようにしたいと考えています。4月には、この事業を担う一般社団法人「認知症当事者ネットワークみやぎ」を設立しました。

 全国でも初めての試みですが、これから他の地域にも広がっていくかもしれません。認知症になったからこそできる仕事が、世の中に増えていくことを想像すると、なんだかわくわくします。(丹野智文 おれんじドア実行委員会代表)

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丹野智文(たんの・ともふみ)

 おれんじドア実行委員会代表

 1974年、宮城県生まれ。東北学院大学(仙台市)を卒業後、県内のトヨタ系列の自動車販売会社に就職。トップセールスマンとして活躍していた2013年、39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断を受ける。同年、「認知症の人と家族の会宮城県支部」の「若年認知症のつどい『翼』」に参加。14年には、全国の認知症の仲間とともに、国内初の当事者団体「日本認知症ワーキンググループ」(現・一般社団法人「日本認知症本人ワーキンググループ」)を設立した。15年から、認知症の人が、不安を持つ当事者の相談を受ける「おれんじドア」を仙台市内で毎月、開いている。著書に、「丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-」(文芸春秋)。

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