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脳などへの合併症も…重症化しやすい子どもの食中毒をどう防ぐ? 冷蔵庫内にもリスクが

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 夏がやってきました。温暖な愛知県で生まれ育った私にとって、一年の中で最も印象深い季節は夏。家族でキャンプ等に出かけた記憶が残っています。

 夏は気温も湿度も上がり、食べ物が腐りやすくなります。家族で外に出かける機会も多くなり、食中毒の報告が増える時期です。そこで今回は、主に食中毒についてお話ししたいと思います。

イラスト:江村康子

細菌、ウイルスより多いのは…

 食中毒とは、飲食物を介して発生する病気のことをいいます。一般に、吐いたり、下痢や腹痛などの消化器症状を起こしたりするもので、原因は様々です。

 2018年(平成30年)の厚生労働省食中毒統計資料によれば、報告された食中毒は年間1330件。その原因として最も多いのは、何だと思いますか?

 実は、寄生虫なのです。487件で全体の37%を占めています。そして、ほとんどがアニサキスによるものでした。アニサキスはサバ・サンマ・アジ・サケなどの体内に生息する寄生虫で、虫がいる魚を生で食べると激しい腹痛や 嘔吐(おうと) を引き起こします。消化器症状以外に、アレルギー症状(じんましんなど)を起こすこともあります。アニサキスは魚の内臓に寄生し、魚が死ぬと内臓から筋肉に移動します。そのため、身に虫がいる可能性があり、鮮度の悪い魚の生食は特に避ける必要があります。

 寄生虫についで多いのが細菌で467件(35%)、ウイルスは265件(20%)でした。これは成人も含めたデータで、子どもでは、成人ほどアニサキスによる食中毒は多くありませんので、細菌やウイルスの割合が大きいと考えられます。

 細菌性食中毒には、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌、ウェルシュ菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌などがあります。これらは、湿気が多くなる梅雨から夏にかけて増えますので、まさに今が要注意の季節です。ちなみにウイルスでは、原因が判明しているもののほとんどがノロウイルスのようです。

大人より免疫能が低く

 ちなみに食中毒といえば、レストランなどでの外食で起こすもの、というイメージがあるかもしれません。そのイメージはおおむね間違っておらず、先ほどの厚労省の統計の「施設別発生状況」では飲食店が63%と圧倒的です。ただ、次いで多いのは家庭(14%)で、旅館や販売店を上回っています。家庭の調理でも、食中毒に気をつける必要があるのがわかります。

 子どもの食中毒には、いくつかの特徴があります。まず、子どもは大人より免疫能が低く抵抗性が弱いため、症状が大人より重症化しやすい点です。特に、脳など中枢神経の合併症を起こすリスクが高く、注意が必要です。

 また、手指の衛生などに対する理解が不十分なのに加え、学校などで集団生活をすることによって、給食などから感染するケースが多いのも特徴です。

予防のための三原則

 食中毒予防には三つの原則があります。

 <1>菌をつけない<2>菌を増やさない<3>菌をやっつける、です。当たり前で平凡なメッセージかもしれませんが、やはりこの三つが大事です。

 まず<1>について。手には様々な雑菌が付いています。食中毒は人の手を介して広がっていきますので、調理前の手洗いは必須です。<2>に関しては、食べ物を暖かいところに放置せず、「生鮮食品は冷蔵庫」のルールを守ることが大切です。<3>では、食中毒の原因菌は熱に弱いものが多いことから、十分に加熱するよう心がけましょう。

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)
 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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