宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
【最終回】素直ではないけど個性的で愛しい子どもたち 元気に大きくなりました!
プロのアドバイスに感動
勧められ、子どもも受診させることになりました。先生は、バウムテスト(果樹を描くことによる心理検査)やカウンセリングなどでアプローチし、どうも、子ども自身もかんしゃくをやめたいと思っていること、強いパワーと愛情を持っていること、親子関係は良好であることなどを私に話してくださいました。
より良い親子の時間を保つための「CARE(Child-Adult Relationship Enhancement)」というプログラムについても、簡単にトレーニングをしてくれました。子どもとの良好な関係を築くために重要な三つのスキル、「会話の繰り返し」(子どもが発した言葉を、少し補足して親が繰り返す)、「適切な行動を言葉にすること」(ちゃんとできたね、など)、「具体的にほめること」を習いました。また、子どもに対し、なるべく避けたい三つのこと=「質問」「命令」「禁止」や、使いたくない否定的な言葉も教わりました。命令や禁止はわかるのですが、「質問もダメなんだ……」と新鮮に驚きました。
例えば、子どもが「くるまきたよ」と言うと、会話をふくらませようとして、つい、「どんな車だった? 何色だった?」などと尋ねてしまいがちです。しかし、好ましい対応は、「車来たね、青い車がビューンて来たね」と、子どもの言葉に少し補足して繰り返すことなのだそうです。
早速、子どもたちそれぞれと向き合う時間を作り、実践してみました。本当に子どもたちは落ち着いて、ゆったりといい時間を過ごすことができました。ご紹介したのはCAREプログラムのほんの一部ですが、プロに子どもとの過ごし方を教わるだけで、こんなに違うのかと感動しました。それで子どもたちの性質が急に変わるわけではありませんが、成長を待ち、伴走することができているのではないかと思います。素直で育てやすい子どもは、わが家にはやって来ませんでしたが、個性的で可能性を秘めた 愛 おしい子どもたちと濃密な毎日を過ごしています。
受診の心理的ハードルなくして
ところが、児童精神科に通っていることを周囲の人に話すと、「……そうなんだ。大変だね」と、まずいことを聞いてしまったような反応をされます。確かに、とても特殊な事情を抱えているように聞こえるでしょうし、育児をしている人の大半は「児童精神科にかかってみよう」と思ったこともないのかもしれません。しかし、児童精神科は、有益な知識が得られ、子育てを助けてくれる場です。心理的な高いハードルを感じずに受診できると、助かる人も多いのではないかなあ、と思いました。
新装開店へ 引き続きお付き合いください!
今まで、子どもたちの成長とともに、いろんなテーマについて書き綴ってきました。が、子どもたちが大きくなるにつれ、具体的なエピソードをご紹介しづらくなってきたのも事実です。そこで、こちらの「実況中継」は、今回で最終回とさせていただくことになりました。
でも、ご安心ください。近く装いを新たにし、これからもヨミドクターでの発信を続けていく予定です。引き続き、お付き合いいただけますと幸いです。(宋美玄 産婦人科医)
*「宋美玄のママライフ実況中継」は今回で終了します。
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楽しく読ませていただいておりました
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宗先生と同い歳、長男も同い歳です。
長年執筆、お疲れ様でした。
「そうそう!」と同意したり、「ええ~~!?そうか~~!?・・・まぁそういう考えもあるか・・・」と考えさせられたり、とても貴重なコラムでした。
余談ですが、先生の記事で紹介されたのを知って以来、月経カップを使い続けています(笑)
教えてくださって感謝しています。
今後も更なるご活躍をお祈り申し上げております。
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お疲れ様でした
しろこ
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これまで沢山の貴重な情報を発信して頂き、ありがとうございました。社会の一員として考えさせられるテーマが多く、毎回楽しみにしていました。次のコラムも楽しみにしています!
こちらのコラムが開始した頃から妊活を始め、いつか宋先生のような子育てをしたい!と勝手に息巻いていましたが、7回の体外受精の末授かることは叶わず、今は子供のいない人生を受け入れて生きています。
こちらのコラムは前述したように貴重な情報で溢れていいますが、ママさん達の共感を得やすい一方、子育てに縁のない人や妊活に疲れて子供を見るのが辛い人が避けてしまうという勿体ない側面もあったように感じます。ママライフというテーマから離れることは、後者の方々にも紹介しやすいので嬉しく感じています。政治家は選挙で子育て支援を訴えますが、その支援に妊活は入っていないのが現状です。少しでも女性が生きやすい社会が来て欲しいと思うばかりです。
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人の心を動かす真実と嘘と冗談のブレンド
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色々たてこんで投稿が遅れました。
新装開店であれば、お別れの言葉も要らないでしょう。
今日はSAMI2019という高度画像の研究会に来てますが、撮像装置、撮像情報のリンクソフト、自動診断のいずれも進歩著しく、今の時点で実用化にかなり近づいているとわかります。
AIとITは我々の仕事や生活を著しい勢いで変えています。
活版印刷や蒸気機関、ラジオ、電話、テレビ、パソコン、携帯電話の出現に続く人類史の中の加速度的変化のキーです。
その中で、ヒト以外のものが人の、特に子供の相手をする時間が増えています。
このことが、発達障害傾向の子供が増えている理由でもあるでしょう。
一方で、AIやIT越しの他の国の人々との競争を無意識に感じ取って、頑固な部分もあるのかもしれないですね。
頑固とは、特定興味への集中であり、協調性と取引の関係にあるものの重要な資質です。
性格や生活習慣のデリケートな扱いは、医学部のカリキュラムの外側のことであり、専門家やそれに準ずる存在に頼るのはある程度正しいと思います。
理由は今の両親や祖父母世代と社会構造や育成環境が違うからで、それを普通の人が個人で処理するのは色んな意味で無理だからです。
「私」の都合と子供の都合のすり合わせは難しくて、僕は独身だからこそ、「子供のうちくらい子供らしくさせてあげないと」とか言えるのかもしれません。
サッカー指導の経験や知識から言えば、どういう風に知識や習慣を植え付けていくかも一つの技術ですから、そういう本を読まれるのもいいと思います。
サッカー指導のむしろ半分以上は、サッカー以外における人間扱いの問題です。
短所は長所とセットなので、人や環境との組み合わせや冗談で距離感や関係性を調節するのも一つです。
ある面で真面目過ぎることは逆効果で、複数の価値観(正義)のバランスが大事です。
論文の外側から、論文を書く人を動かすという自分の目標の一つも宋先生のブログと共にあった数年である程度楽しめたと思います。
白い巨塔さえ動かす面白い小僧、医者の世界でアラサーやアラフォーなどまだまだひよっこですが、だからこそ見えるピクチャーをまた投稿させていただきます。
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