宋美玄のママライフ実況中継
医療・健康・介護のコラム
【最終回】素直ではないけど個性的で愛しい子どもたち 元気に大きくなりました!
第1子の妊娠中から、こちらのコラムで子どもの成長を 綴 ってきました。今では、娘は7歳、息子は3歳。大変、元気に大きくなりました。しかし、石川啄木の「友がみな われよりえらく 見ゆる日よ……」という歌ではありませんが、他の人の子育てが自分より優雅で、楽そうに見えてつらいことも多いです。
うちの子どもたちは、体はとても健康で、熱を出して休むこともほとんどありませんし、夜もよく眠ります。それだけでもとても恵まれているとは思うのですが、2人とも頑固で我が強く、説得や懐柔には応じません。そればかりか、一度、かんしゃくのスイッチが入ると、なだめても叱っても、どうやっても収まらないのです。
たとえ、それが公共の場であっても。しかも、こちらに暴力をふるってくるので、ずっと無視しておくわけにもいかず、人前で、ものすごく恥ずかしく、いたたまれない思いをしたことが数限りなくありました。
プールでかんしゃく起こし…
例えば、このようなことがありました。
友人2人と、全員子連れで、プールと温泉のある施設に行ったのですが、息子が流れるプールを気に入ってしまい、温泉に移動しようとしても、「もう1しゅう」「もう1かいだけ」と、切り上げる気配がありません。
説得し、抱き上げようとすると号泣してすごい力で抵抗し、小脇に抱えて温泉の脱衣所に連れて行っても断固として水着を脱ごうとしません。周りで見ていた方が、息子を説得しようと試みていたのですが、気がひけるほど大きな声で泣くばかり。その後、どうやってお風呂に入れたか、疲れすぎて記憶にないのですが、泣き疲れるという言葉は彼の辞書にはないようです。彼自身もつらいのでしょうが、親はただただしんどいです。
公共の場では、かんしゃくの状態だと「ちゃんとしつけていない親」と見られるし、叱っても「児童虐待」と見られるし、どちらにしても一度スイッチが入ると収まらないので、恥ずかしさとうるさくして申し訳ない気持ちでどうしようもなくなります。
友人親子と一緒にいるときに、かんしゃくを起こすこともしばしばあり、「お子さんがこんなふうになることある?」と聞くと、「イヤイヤはあるけどここまでのことはない」と言います。
周りの子どもたちを見ていると、「そつなく、いろんなことがこなせて、親は楽なんだろうなあ……」と思ってしまうことが多く、石川啄木の歌が身にしみる日々なのです。
児童精神科に行ってみました
そんなある日、知人の医師が、ご近所に精神科クリニックをオープンさせました。「児童精神科」もやっているとのことなので、早速かかってみることにしました。今までも、子どものイヤイヤ期について児童精神科医に相談したりしたこともあったのですが、ちゃんと受診してみたかったのです。
予約をすると、受診に先立って多数の問診票が送られてきました。生まれてから今までの間にあったことについて、当てはまることがないか答えていくのですが、発達に何らかの「特性」がないか、細かく聞かれているようでした。そして受診の日、診察室でいろいろなエピソードをお話しすると、先生は受容的な態度で聞いてくださいました。
うちの子は、どうも発達に何かあるということではなく、キャラクターが濃くてパワーがあり余っている、という感じのようでした。診察で励まされ、リフレッシュしてまた育児に臨み、また疲れて診察を予約する、というサイクルでした。
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楽しく読ませていただいておりました
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宗先生と同い歳、長男も同い歳です。
長年執筆、お疲れ様でした。
「そうそう!」と同意したり、「ええ~~!?そうか~~!?・・・まぁそういう考えもあるか・・・」と考えさせられたり、とても貴重なコラムでした。
余談ですが、先生の記事で紹介されたのを知って以来、月経カップを使い続けています(笑)
教えてくださって感謝しています。
今後も更なるご活躍をお祈り申し上げております。
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お疲れ様でした
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これまで沢山の貴重な情報を発信して頂き、ありがとうございました。社会の一員として考えさせられるテーマが多く、毎回楽しみにしていました。次のコラムも楽しみにしています!
こちらのコラムが開始した頃から妊活を始め、いつか宋先生のような子育てをしたい!と勝手に息巻いていましたが、7回の体外受精の末授かることは叶わず、今は子供のいない人生を受け入れて生きています。
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色々たてこんで投稿が遅れました。
新装開店であれば、お別れの言葉も要らないでしょう。
今日はSAMI2019という高度画像の研究会に来てますが、撮像装置、撮像情報のリンクソフト、自動診断のいずれも進歩著しく、今の時点で実用化にかなり近づいているとわかります。
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活版印刷や蒸気機関、ラジオ、電話、テレビ、パソコン、携帯電話の出現に続く人類史の中の加速度的変化のキーです。
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このことが、発達障害傾向の子供が増えている理由でもあるでしょう。
一方で、AIやIT越しの他の国の人々との競争を無意識に感じ取って、頑固な部分もあるのかもしれないですね。
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性格や生活習慣のデリケートな扱いは、医学部のカリキュラムの外側のことであり、専門家やそれに準ずる存在に頼るのはある程度正しいと思います。
理由は今の両親や祖父母世代と社会構造や育成環境が違うからで、それを普通の人が個人で処理するのは色んな意味で無理だからです。
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論文の外側から、論文を書く人を動かすという自分の目標の一つも宋先生のブログと共にあった数年である程度楽しめたと思います。
白い巨塔さえ動かす面白い小僧、医者の世界でアラサーやアラフォーなどまだまだひよっこですが、だからこそ見えるピクチャーをまた投稿させていただきます。
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