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うんこで救える命がある

コラム

うんこを見るモチベーションを高める方法

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 「……いや、別にそんなモチベーション高めなくていいです」と言われそうですが、これまで何度もお伝えしているように大腸がんや潰瘍性大腸炎などの大腸の疾患の初期症状は、うんこに出ます。うんこの異変に気がつくことで大腸の疾患の初期症状に気づいてもらいたいと常々思っていますが、人生はうんこを見ること以外にも、試験勉強や就職試験などモチベーションを高めて継続しなければいけないことの連続です。

 医療の分野においても、モチベーションを維持し、行動を変容させていくことがとても重要になってきたことは、これまでにもお伝えしてきましたが、今回のコラムでは、このモチベーションを高めて継続する方法について具体的に紹介していきたいと思います。

モチベーションには二つのタイプがある

 世の中で「モチベーション」と言われるものには、大きく二つのタイプがあると言われています。「外的な報酬(インセンティブ)によるもの」と「内的な意味付けによるもの」です。

 インセンティブとは「テストで100点を取ったら1000円あげるよ」「成績が良ければ給料を上げるよ」というような外からの報酬による動機です。このインセンティブによる動機付けは、最初の一歩を踏み出すという行動変容のためには最強のツールだと個人的に思っています。新しいことに挑戦するのは、なかなか心理的にハードルが高いものですし、皆さんも一度くらいは、報酬のような短期的な刺激によってやる気が引き出された経験があるのではないでしょうか。

 ちなみに、この報酬はお金に限らないです。例えば、医療の世界では少し前にブームとなったスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の影響力が話題になっています。「ポケモンGO」は位置情報を利用して地図に示された場所に実際に行き、画面に現れるモンスター(ポケモン)を捕まえ、交換やバトルができるというゲームです。ポケモンを集めるために、多くの人がスマホを片手に町中をウロウロと歩き回る姿が象徴的でした。

 医療分野では外来診療で、医師が高血圧や糖尿病の患者さんに毎日歩くなどの運動を勧めることがあります。でも健康管理のために良いと頭では分かっていても、なかなか歩きたいとは思えないのが人間の心理だと思います。そんな中、イギリスの医学誌に掲載された研究によれば、「『ポケモンGO』を始めた人は約6週間、いつもより多く歩くようになった」と紹介されています。この結果は、ゲームの魅力を利用すると普段より歩くようになると示唆するものです。ゲームの力を借りて新しい世界に入りやすくすることは、きっかけづくりとして興味深いやり方ですね。

 ただ、こうした「インセンティブによる動機付け」は最初の取っかかりとしてはとても有効なのですが、長期的なモチベーションの維持には向いていないという問題があります。なぜなら、人はインセンティブによる刺激にすぐ慣れてしまうからです。例えばテストで100点を取って1000円をもらう癖がついてしまうと、成長するにつれて次は2000円もらえないと満足できなくなってしまう……と言うと理解しやすいでしょうか。

 一方、「内的な意味付け」は長期的なモチベーションの維持に向いているとされています。内的、つまり自分自身で意味付けができるというのは、「他人からお金がもらえるからテストを頑張る」というのではなく、例えば「自分の夢のために受験勉強を頑張る」とか、「日本史のテスト勉強をしているうちに歴史そのものに興味を持って、三度の飯より歴史が好きになった」とか、「歴史の勉強を通してとても仲のいい友達ができて、友達との関係を続けたいから勉強を続ける」というような状態になることです。これらは完全に自分のこととなったモチベーションなので、長続きすると言われています。

 つまり、モチベーションを維持するために大事なことは、内的な意味付けを自分の中で確立していくことなのです。これまでに何度も何かに挑戦しようと思ったのに三日坊主で終わってしまったという人は、最初に「自分の人生において、この挑戦にどんな意味があるのか」を考え、自分なりに意味付けをしてみるといいでしょう。もちろん、高尚な目標でなくても構いません。そして、飽きてしまいそうになった時にはその意味を思い出すようにするといいでしょう。

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ishiyousuke_prof

石井洋介(いしい・ようすけ)

 医師、日本うんこ学会会長

 2010年、高知大学卒業。横浜市立市民病院炎症性腸疾患科、厚生労働省医系技官などを歴任。大腸がんなどの知識の普及を目的としたスマホゲーム「うんコレ」を開発。13年には「日本うんこ学会」を設立し、会長に就任。現在は、在宅医療を展開する山手台クリニック院長、秋葉原内科saveクリニック共同代表、ハイズ株式会社SHIP運営代表、一般社団法人高知医療再生機構特任医師。著書に「19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと」(PHP研究所)など。

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