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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

コラム

「いだてん」を見て走り始めたけど、膝が痛くなった…治療と再発防止のカギは?

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 NHKの大河ドラマ「いだてん」の主人公、金栗四三(かなくり・しそう)は、日本が初参加したオリンピック・ストックホルム大会のマラソンに出場した選手です。今から100年以上前のオリンピックに参加する様子や、箱根駅伝の開催に尽力し、女子スポーツの普及・啓発に取り組んだ様子など、とてもひきつけられる内容です。これを機にランニングを始めた方も多いかもしれませんね。ですが、時に、走り始めのランナーに膝の痛みが出現することもあります。

 今回は社会人の30代女性のケースです。

 Uさんは、ランニングを始めて3か月。家の周りを週に3~4回、毎回4kmのコースを走っています。走り始めて1か月が経過したころから、膝の内側が痛くなってきました。日常生活の歩行や階段の上り下りでは痛みはありません。また、走り始めは大丈夫ですが、1kmを超えてくると、痛みのため走るのが難しくなります。近くのクリニックで膝のレントゲンを撮影したところ、骨に異常はなく、 ()足炎(そくえん) の診断を受けました。

運動量の調整とリハビリテーション

 「鵞足」とは聞きなれない言葉だと思いますが、 縫工筋(ほうこうきん)半腱(はんけん)様筋(ようきん)薄筋(はっきん) という三つの筋肉が膝の内側に付着する部位を指します。太ももの裏にあって膝を曲げる筋肉はハムストリングと呼ばれますが、半腱様筋はその一つです。縫工筋や薄筋は膝を曲げるほか、股関節の動きに関わる筋肉です。これらの筋肉が、膝の内側にある (けい)(こつ) に付着する場所が 鵞鳥(がちょう) の足に似ているということで、鵞足という名称が付けられています。

 鵞足炎の場合、膝の骨に異常は出ません。しかし、膝の痛みには、脛骨が疲労骨折していたり、軟骨が摩耗する変形性膝関節症になっていたりすることもあるので、医療機関で診察してもらう必要があります。

 診断が鵞足炎であれば、治療は運動量の調整とリハビリテーションです。「毎回このパターンじゃないか」とお気づきの読者もいるかと思いますが、鵞足炎に限らず、繰り返し負荷がかかることで生じる故障には、(1)運動量の調整、(2)リハビリテーション、(3)段階的競技復帰の三つが治療の柱になるのです。医師の診断によっては、運動休止を指示されることもあります。

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Ozeki-7-pro

大関信武(おおぜき のぶたけ)

整形外科医・博士(医学)
一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。
2002年滋賀医科大学を卒業。2014年横浜市立大学大学院修了。横浜市立大学付属病院、横浜南共済病院、関東学院大学ラグビー部チームドクター、英国アバディーン大学研究員などを経て、2015年より東京医科歯科大学再生医療研究センター所属。現在、東京医科歯科大学付属病院スポーツ医学診療センター、八王子スポーツ整形外科などで診療。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。野球、空手、ラグビーなどを通じて、アキレス腱断裂、野球肘、肩関節脱臼、足関節靱帯損傷、骨折(鼻骨、手首、下腿)など自身が豊富なケガの経験を持つ。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、2015年12月一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。

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1件 のコメント

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寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

筋量やフォームの変化に伴う損傷を4次元的にどう修正をかけるか、初心者やブランクのある選手が陥りがちな問題ですね。 これは整形外科単独より、むしろ...

筋量やフォームの変化に伴う損傷を4次元的にどう修正をかけるか、初心者やブランクのある選手が陥りがちな問題ですね。
これは整形外科単独より、むしろ、トレーナーや理学療法士等とのチーム医療が不可欠です。

さて、たまたま、超有名な研究者が大学時代は授業そっちのけでラグビーに明け暮れた記事を見ました。
いまどき、そんなのは許されないでしょうが、社会や人間との接点を知り中長期的な成長に活かすという意味ではどちらの学生生活の方がよいのでしょうね?
痛みを知り、メカニズムを知り、教科書にないことも学んでいく。
(僕が学生時代だった15-20年前はスポーツ医学なんか授業でもあってないようなものでした。)

もしも、その医療人が目指すところが高いのであれば、自由時間や趣味を楽しむ気持ちは大事なのではないかと思います。

スポーツには心を震わせる力があります。

また、実際問題、多くの親御さんや学校の先生はどうやって学生さんを勉強させるか、頭を悩ませていると思いますが、勉強だけしとけという一方的な押し付けよりも、好きなスポーツをやめないでいいという説得の仕方もあるのではと思います。

若者は様々な勉強をしながら、未来を考えていけばいいと思います。
整形外科だけでなく、内科、循環器や精神科など様々な臓器の専門家がスポーツを支えるために必要ですし、選手のみならずその家族は様々な医療人を頼りにします。

今はJリーグ創生25周年で、ユースなど諸々の競争が激しくなった結果、学校によっては医学部サッカーに来る選手のレベルもモチベーションも上がっています。
自分が様々な書籍やビデオで学んだことや、国内外のトライアウトなどで学んだことを、指導している学生さんが吸収していくのは楽しいです。
身内びいきかもしれませんが、数名はプロの新人には優るとも劣らないテクニックと判断力だと思います。
昔の海外の選手や漫画のように医者でプロサッカー選手なんかは日本の文化では難しいかもしれませんが、多くの良い選手が生まれれば変わっていくのかなとも思います。

今年の西日本の医学生の大会=西医体は8月スタート、サッカーはお盆の週にJグリーン堺であります。
若者ばかりですから未熟な部分もありますが、教育関係者も興味を示していただければと思います。
どんな理由でも、人が集まった方が地域も産業も活性化しますしね。
(東日本は新潟みたいですね)

今後はアマチュアの活性化こそが、あるいはプロの活性化に繋がるのではないかと思います。
なぜなら、99%以上の選手はそれを本業にできないからです。
それでもスポーツは楽しいものですからね。

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