認知症介護あるある~岡崎家の場合~
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大黒柱が53歳で認知症に! 「穏やかな介護」は、お金次第?
乏しい公的支援
それさえあればいいというものではありませんが、やはりないと困るのがお金です。65歳未満で発症する若年性認知症は、本人が一家の大黒柱である場合も多く、収入が激減した結果、家族の人生まで変わってしまうことがあります。そして、「穏やかな介護」になくてはならない「心の余裕」まで失ってしまうのです。
近年は若年性認知症の人が発言する機会が増え、そうした問題がだんだんと知られるようになってきました。ところが、民間の「介護保険」や「認知症保険」は続々と増えているものの、公的なサポートは十分とはとてもいえません。健康保険の傷病手当金が支払われるのは最長で1年半だし、障害年金は障害が重くないと受けられないうえ、それだけで一家が暮らせるような金額にはならない場合が多いと聞きます。その他の支援といえば、生活保護くらい……というのが実情なのです。
働き盛りの53歳で発症
ここからは我が家の話がベースになりますが、父さんが認知症の原因となる脳出血を起こしたのは53歳のときでした。一人娘の私は大学を出て、社会人1年目。父さんにしてみれば、子どもがようやく手を離れたものの、世間的にもまだまだ「バリバリ働いている世代」です。
我が家は自営業で、父さんは、数は少ないながらも従業員を抱える経営者でした。「認知症」と診断を受けたからといって、すぐに何もかもわからなくなったり、寝たきりになるというわけではありません。認知症だということはごく一部の人にしか伝えず、母さんをはじめ周りのサポートを受けながらしばらく仕事を続けていました。
一見するとそれまでとほとんど変わらない父さんでしたが、新しいことを覚えられなくなっていて、次第にちぐはぐな言動が目立つようになりました。不安を感じたお客さんが離れていき、同業者からは、廃業を迫る怪文書(?)を事務所のポストにつっこまれたことも。そうして徐々に、事業を続けることが難しくなっていったのです。
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