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子どもの日焼け止め 正しい選び方と使い方は?…「かぶれに注意」「生後6か月未満は原則使わない」

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 いよいよ夏です。子供が外遊びをする時間も増えて、「日焼け止めを塗らなきゃ!」と、準備する保護者の方もいらっしゃると思います。

 6月のコラムで虫刺されと虫よけの話を書いたところ、日焼けと日焼け止めについても教えてほしい、との声をいただきました。そこで今回は、お子さんの日焼け予防について書きたいと思います。

イラスト:江村康子

イラスト:江村康子

紫外線に皮膚がん誘発の懸念 しかし、不足はビタミンD欠乏に

 一昔前まで、日焼けは健康の象徴でした。私も子供のころは、真っ黒に日焼けして、夏休み明けには、日焼けの程度を友達と自慢しあった記憶もあります。

 それが少し前からは、紫外線による皮膚がん誘発などが懸念され、大人よりも表皮の薄い小児期から過度に日焼けすることはリスクと考えられるようになりました。また、乳幼児期の日光浴についても推奨はされなくなり、1998年には、母子手帳から日光浴推奨の文言が消えました。

 しかし一方で、紫外線を避けることによって、ビタミンDが欠乏している乳幼児が増えているという報告もあります。ビタミンDは食物から摂取する以外に、紫外線に当たることにより皮膚で合成されるからです。ビタミンDは、骨の形成に必要なカルシウムの吸収を促してくれる働きがあり、これが不足すると骨の石灰化障害が生じる「くる病」になってしまいます。

 そのように、紫外線には健康にいい面と悪い面があるのですが、私は過剰に怖がる必要はないと考えます。もちろん、適切な紫外線対策は必要で、そのひとつの指標が「 保育所・幼稚園での集団生活における紫外線対策に関する日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解 」です。その内容も参考にしながら、日焼けについて説明したいと思います。

市販の軟膏で痛みを増すケースも

 日焼けは、赤くなるだけなら軽症、痛みを伴うと中等症、 水疱(すいほう) ができているなら重症とされます。皮膚の表面に炎症を起こしていますので、「日焼けはやけど」と考えて差し支えありません。

 やけどですので、手当てが必要です。赤みが出ていれば、ぬれタオルや保冷剤をタオルで包んで、患部を冷やします。日焼けの部分は肌の表面が傷み、バリア機能が損なわれています。回復させるためには、ローションなどの保湿剤でケアする必要があります。それでも、赤みがひかなかったり、痛みが強かったりする場合には、病院の受診を検討してください。

 病院では、ステロイド入りの軟膏を処方して炎症を抑えます。市販の軟膏には冷たく感じさせる成分などが入っているものもあり、製品によっては逆に痛みが強くなる場合があるため注意してください。同様に、冷感スプレーや熱冷まし用シートなどは、痛みが増すことになりますので使わないようにしてください。

日陰の紫外線は日なたの約50%

 次に、日焼けの予防の仕方について、お話します。

 まず、紫外線の強い時間帯の屋外活動を避けることです。紫外線は一日のうち、早朝や夕方が弱く、10時から14時の間が強いといわれています。屋外活動はなるべく紫外線の弱い時間帯に行い、強い時間帯に外出するときは紫外線対策をしてください。

 次に、日陰を選び、帽子をかぶり、肌を覆う服を着ることです。前述の日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解によると、日陰の紫外線は、日なたの約50%に減るとされています。また、帽子のつばが7cmあると紫外線を約6割カットでき、七分袖や襟付きなど、体を覆う部分が多いほど紫外線から肌を守るとも記載されています。

日焼け止めには経皮吸収のリスクも

 こうした対策をした上で、日焼け止めを活用します。

 日焼け止めの使い方を話す前に、その経皮吸収(成分が皮膚から吸収されること)について少し触れたいと思います。

 2019年5月に 米国医師会雑誌(JAMA)に発表された論文 では、24人の成人被験者に、4種類の市販日焼け止め製品を塗った後、血中濃度を測定したところ、日焼け止め成分の濃度がFDA(米国食品医薬品局)の設定した 閾値(いきち) より高いことが分かりました。現時点では、それが体に悪影響を及ぼすものなのか結論は出ず、さらなる調査が必要であり、日焼け止めを使わないでというメッセージではないとしています。今後の研究結果が待たれますが、小児は成人よりも体重あたりの体表面積が大きく、日焼け止め成分の経皮吸収について、今後はより慎重に考えなくてはいけないかもしれません。

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)
 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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