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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

コラム

認知症介護の極意は「逃げ恥」? 大切なのは、生き抜くこと!

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漫画・日野あかね

漫画・日野あかね

人気ドラマとの共通点とは

 2016年秋、TBS系で放送されて一大ブームを巻き起こしたテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」。出演する星野源さんのファンの私は、彼のマルチ過ぎる才能にうなりつつ、毎回楽しみに見ていました! 何やら意味深なこのタイトル、元々はハンガリーのことわざなのだそうですが、私にとってはこれも「認知症介護あるある」なのです。

 介護から「逃げる」なんていうと、眉をひそめる方もいらっしゃるかと思いますが、「役に立つ」のは間違いありません。私が父さんの介護で追い詰められた時には、これに本当に救われました。

一人で抱えて追い詰められ…

 私がまだ会社勤めをしていた頃、母さんが卵巣がんになり、両親の介護・看病を一人で担わねばならなくなりました。心に1ミリも余裕がない状況で、母さんの病気のことを何度、父さんに説明しても、すぐに忘れてしまう……。「そんなことで」と思われるかもしれませんが、20年の介護生活で一番追い詰められた経験でした。

 「母さんは、卵巣がんで入院中でしょ」と話せば、そのときは理解している様子なのですが、少したつと「母さんはどうした? 俺のご飯を作るように言え」。病気のせいだとわかっていても、何度となく繰り返されるやりとりに、精神的なダメージがじわじわと蓄積していきました。

親子の関係を休んでみる

 ついに私は心のバランスを崩し、通勤途中のホームで「いま一歩前に踏み出せば、楽になれる」という考えが浮かぶように……。心療内科の門を叩き、医師から「ここに来ている時点で限界を超えているの。もっと人に頼ってみてはどうかしら」と言われました。そこで初めて、人の助けを借りることを考えるようになりました。

 その後も私の心は、ちょっと浮いてはまた沈むことの繰り返し。うつ気味になったときにカウンセラーから「会社や仕事が原因ならば、休んだり、辞めたりすれば解決することもあるけど、親子関係はなかなかそうもいかないからねぇ。だからこそ、ときには離れて、その関係を休むことも大切」というアドバイスをいただきました。

 母さんが倒れてしまった今は、自分が父さんにとって唯一の家族。だから一人で頑張らなくては――。自分自身をがんじがらめに縛る、そんな思い込みの呪縛から解き放されたように感じました。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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1件 のコメント

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災害時や事故時の対応にも似てますね。
そういう意味でも、子供が自立するまで親を支える保育園とか義務教育施設、あるいは介護施設の重要性が再認識されます。

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