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なが~く、楽しくお酒と付き合うために 重盛憲司

医療・健康・介護のコラム

飲んで記憶がない、こんな飲み方は脳にダメージ

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酔っぱらって暴れるのは、ブラックアウトとは別の問題

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 酔っぱらって、部屋をめちゃくちゃにしたのに、翌日目を覚ますと前夜の記憶がないというのは、映画などではよくあるシチュエーションです。この場合もブラックアウトを起こしていますが、酔った勢いで暴れるのは、騒いだり、踊ったり、 猥談(わいだん) をしたりという酔いのパターンの問題で、また、別の話です。

 ブラックアウトにより記憶をなくした人でも、多くは普通に会話をして、自宅に帰り、寝室で休んでいるものです。従って、翌朝目覚めた時に、「昨夜どうやって帰宅したのか覚えていない」程度の記憶の欠落となることが大半です。それでも、先ほどの男性のように家庭人としての危機や、社会人にとっては致命的な失敗に結びつくこともあり、肝を冷やしたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 アルコール依存症を治療する立場でお恥ずかしい話ですが、私自身も経験があります。前夜、随分飲んだと思ったのに、翌日財布を確認したところあまり現金が減っていません。「たいして飲まなかったのかな」と思って、病院に出勤したところ、一緒だった同僚から「昨夜、立て替えた飲み代を払ってくれ」と言われたことがあります。危うく友人と信用を同時に失うところでした。

アルコールが記憶に関係する脳の海馬に作用して起こる

 記憶が抜け落ちている間も、普通に会話をしていると書きましたが、それではブラックアウトはどうして起こるのでしょうか。

 記憶には三つの段階があります。「情報の入力(認知)」から始まり、脳に情報を定着させる「記憶の保持」、そして必要に応じて情報を引き出す「記憶の想起」です。入力された情報に対しては、酔っぱらっていても、ある程度、正常な反応を示すことができます。とは言っても、 酩酊(めいてい) 状態なので、気が大きくなっていたり、欲望に忠実になっていたりします。この時、アルコールが記憶に関連する脳の海馬に作用して、記憶の次の段階、「情報の保持」ができなくなってしまうのです。ですから、翌朝、思い出そうとしても、飲酒中の記憶がないということになるのです。

ブラックアウトを起こしやすい飲み方は?

 ブラックアウトは、アルコール含有率の高いお酒を早いペースで飲むなどして、血中アルコール濃度が急激に上昇した時に起こりやすくなります。しばしばブラックアウトするような飲み方をしていると、脳にダメージが蓄積しますし、アルコール依存症のリスクも上がります。何より、円満な家庭生活と充実した社会生活を送るためにも、お酒はゆっくりと味わい、楽しむようにしたいものです。(重盛憲司 心療内科・精神科医)

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shigemori_prof

重盛憲司(しげもり・けんじ)

心療内科・精神科医 1952年、長野県生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、慶応義塾大学医学部精神・神経科学教室を経て、国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)にてアルコール依存症などの治療に携わる。また、厚生省(当時)でアルコール関連問題対策を担当。一方、自身では長年にわたり様々なお酒を愛飲。クラフトビールやシングルモルトウイスキーが近年のマイブーム。趣味は学生時代から続けるアイスホッケーと、自宅近くのマリーナからヨットで海に出ること。現在は洗足メンタルクリニック院長。テレビ番組の出演多数。

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