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せきの診療指針を改訂…「たん」は病気情報の宝庫

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せきの診療指針を改訂…「たん」は病気情報の宝庫

 せきやたんといった症状によって、病院を受診する人は多いだろう。日本呼吸器学会は4月、せきの診療指針に、たんの内容を大幅に盛り込んだ改訂版を作成した。たんの状態も診断や治療に積極的に生かす狙いだ。(山田聡)

  気道の異常つかむ

 せきやたんは、のどから肺に通じる空気の通り道である「気道」の異常を知らせるサインの一つだ。

 気道の表面は、粘り気のある粘液で覆われており、乾燥や微生物の侵入を防いでいる。粘液の量は呼吸に支障がないように調節され、健康なときは少量で、気づかないうちにのみ込まれている。気道の表面では細かく生えた線毛が休むことなく動き、吸い込んだ異物や微生物をとらえた粘液をのどの方向に運ぶ仕組みとなっている。

 しかし、気道に炎症が起きると、粘液の分泌量が過剰になる。そうすると、線毛運動による排除が追いつかなくなり、せきをすることによって、たんとして口から吐き出される。

 厚生労働省の2016年の国民生活基礎調査では、体の自覚症状のうち、男性では、せきやたんが腰痛、肩こりに次ぐ3位と多い。

 日本呼吸器学会が改訂した診療指針では、この「せきとたん」を一緒に考えることが重要として、たんを診断や治療に活用する方法が詳しく盛り込まれた。指針の作成に携わった横浜市立大呼吸器病学教授の金子猛さんは「たんは異物や微生物のほかに、炎症を示す細胞や物質、肺がんの場合はがん細胞も含まれている。診断や治療に役立つ情報の宝庫だ」と指摘する。

 たんの色や状態だけで、病気の診断はできないが、黄色や緑色なら細菌感染が疑われる。長期にたんが続く場合は、慢性の呼吸器の病気、さらにはがんや結核の恐れもある。たんを詳しく検査して微生物を特定したり、異常な細胞を見つけ出したりすることで、病気の診断も可能になる。

  肺結核判明も

 神奈川県内の30歳代女性は16年4月、せきと37度台の微熱という症状から、最初は風邪と思った。病院でレントゲン写真を撮ったが異常はなかった。熱は気にならなくなったが、せきが1か月以上も続き、再び病院へ行くと、せきぜんそくと診断された。

 8月にはまた熱が出て、せきも声のかすれも悪化。黄色いたんが出るようになったため、たんを調べたところ結核菌が見つかり、肺結核、喉頭結核、気管支結核と診断された。入院などを経て6か月で治った。

 長引くせきで呼吸の音などに異常がなく、たんが出る場合は、副 鼻腔びくう 気管支症候群の可能性がある。

 また、慢性の呼吸器の病気である気管支ぜんそくや慢性 閉塞へいそく 性肺疾患(COPD)では、たんが過剰に出る症状が長く続くと、呼吸機能が低下しやすく、病状も悪化しやすい。病気の根本治療を十分に行い、粘液の分泌などを抑える薬や、粘液を排出しやすくする薬などを適切に処方することで症状や生活の質(QOL)の改善が期待できる。

 金子さんは「せきやたんの状態は、病状とも密接な関係にある。たばこの煙など汚れた空気も、気道の炎症を引き起こし、せきやたんの原因になる。特に呼吸器の病気を持っている場合、禁煙が重要だ」と話す。

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