yomiDr.編集室より
医療・健康・介護のコラム
「里親になりました」 子宮頸がんを経験したエッセイスト・紫しえさん
里親希望して3年 あきらめかけていたが……
とはいえ、希望すればすぐに里親になれるわけではありません。里親登録し、研修を受け、児童相談所が子どもと里親の相性を検討します。なかなか具体的に話が進まず、紫さんは半ばあきらめかけていましたが、昨年末、ようやく里子を受け入れる方向になりました。約半年の交流期間を経て正式に決定し、今春から自宅で一緒に暮らしています。里子は、紫さん夫婦を「パパ」「ママ」、宍戸錠さんを「じーじ」と呼ぶようになり、お風呂は大体、夫が入れてくれるそうです。
「これから里親として、いろいろな局面があると思いますが、親と暮らせない子を、もし私まで『こんなはずじゃなかった』って放り出したら、二重に傷つけてしまう。そんなことは死んでもできません」。紫さんは、里親としての責任を口にします。長女だった紫さんは、幼いとき、多忙で家庭を顧みない父と母の離婚をすごく恐れていました。「父譲りのハードボイルドな私は3歳のとき、母親に『パパと別れたらママを殺すよ。私が殺す人になっていいの?』と。それくらい、子どもは敏感なのです」
いつか「出会えて良かった」と言ってもらえたら
最近は、将来の教育についても考えるそうです。「小学校に進んだら、ほかの親は、自分の子どもみたいな年齢。若作りしなきゃいけないなと思ったり(笑)。命ってすごいなあ、人を変えてしまうんだなあと思います」
里子は、環境が整えば、実の親の元に帰さなくてはいけません。どのくらい一緒に暮らせるかはわかりませんが、紫さんが願うことがあります。「どんな仕事についたとしても、自分と同じような生い立ちの仲間を支援する人になってほしい。私もがんを公表して、多くの人からパワーをもらいました。仲間と助け合うことで、本人も精神的に助かるはず。それから、いつか私たちとのことを、『出会えて良かった』と言ってもらえればうれしいです」(藤田勝 ヨミドクター副編集リーダー)
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