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コラム

「夫と2人では家族じゃない!」と涙した女性 磯野貴理子さんの離婚から考える「家族のかたち」

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「自分の子どもがほしい」 磯野さんの夫の言葉が波紋

 先月、タレントの磯野貴理子さんが番組の中でご自身の離婚のことをお話しされ、その理由が夫から切り出された「自分の子どもが欲しい」だったことが、世間ではちょっとした波紋を呼びました。

「夫と2人では家族じゃない!」と涙した女性 磯野貴理子さんの離婚から考える「家族のかたち」

 SNS等のコメントの多くは「それは言ってはいけないこと」「最初から(子どもを望めないであろうことは)わかっていたことではなかったのか」「 (うそ) でもいいから別の理由を言うべきだ」などの元旦那様に対する非難や苦言、また、気丈に明るく振る舞われていた磯野さんに対する応援の声だったように思います。

「今さら、ひどい」「女性が一番言われたくない言葉」

 私のもとにも、何人もの方から意見やコメントが寄せられました。「今さらそんなことを離婚の理由にするなんてひどい」「女性として一番言われたくない言葉だと思う。貴理子さんがかわいそう」「今不妊治療をしていて子どもが授からずに苦労している。まるで自分のことのようにつらく感じる」などといったご意見が多かったのですが、中には「女性の年齢が高くなるにつれて、妊娠しにくくなるリスクがあることをもっと知らせてほしい」という、妊娠や不妊についての啓発を望むご意見もいただきました。どの意見もごもっともと納得する部分があり、私自身もいろいろと考えさせられた出来事です。

 その夫婦にしかわからない事情もあります。きっと磯野さんも、そのようなご事情があったことだろうと拝察しますし、ご自身が「夫には感謝しかない」とおっしゃっているように、これまでお二人の関係はとても良かったのだろうなとも想像します。

時代に取り残されている「家族のかたち」 

 ですので、今回のことについて他人がとやかく言う筋合いなど全くないのですが、普遍的な「家族のかたち」を求めることへの疑問と、「女性は産む性であることから逃れられないのだなぁ」という、言葉では言い表せない切なさがわいてきたことは事実です。

 もちろん出産は女性にしかできませんから、それを憂うつもりはありません。ただ、「結婚したなら妻は子どもを産むべきだ。誰もが産めて当たり前。家庭には子どもがいるべきだ」という、ある意味、 (かたく) なな「家族像」というものから、人はいつになったら解放されるのだろうと思ってしまうのです。昭和から平成、令和と時代は移り、世の中はずいぶん変わってきているというのに、なぜか「家族のかたち」だけは、いつまでたっても時代に取り残されているような気がしてなりません。

つらい不妊治療やめない女性 「子どもがいて家族ですよね?」

 これをきっかけに思い出した出来事があります。

 以前、不妊についての講演の後、控室を訪ねてこられ、「私はもう7年、不妊治療をしているんですが、全然妊娠できなくて……もうどうしたらいいか、わからないんです」と話してくださった方がいました。聞けば夫婦仲はとても良く、双方の両親も物分かりがよく、「あまり無理をしなくても、あなたたち二人が元気で幸せなのが一番だからね」と言ってもくれるそうです。夫も「子どものために君と結婚したわけじゃないから」と言ってくれるそうで、ご自身もこれ以上治療を続けるのが大変で、心身共につらくてたまらない、と、目に涙を浮かべて話されました。

 ここまできくと「なぜ、そこまでして」と思われるかもしれません。私も思わず「治療を休むとか、やめるとかは考えたことは、ないんですか?」と尋ねました。すると「でも、やめたら子どもができないですよね? 私はどうしても家族が欲しいんです!」と、とうとう泣き出してしまわれました。「そうでしたか……」と、続けて話をお聞きし、落ち着かれるのを待って、「さっき家族とおっしゃったんですが、旦那様とお二人では、だめなんでしょうか?」とさらに () いてみると、「それは家族じゃないでしょう? 子どもがいて家族ですよね? 夫と二人では家族じゃないです!」との答えでした。

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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