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ピック病(認知症)介護『父と私の事件簿』

介護・シニア

ストレスで寝ながら食いしばり、奥歯が粉々に…同居家族の負担を減らすには

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 「金属をはずしたら、奥歯が粉々だよ。夜、寝てる時に、食いしばりすぎだね」

 と、医師があきれたように言う。ずっと奥歯でかむと痛かったので、ゴールデンウィーク前に病院に行ったら、何十年も前に神経を取って治療し、今は表面がぺったんこになっている歯が割れていると言われた。その後、抜歯とインプラント手術を受けることになった。

 昨年の夏、父が転倒して額にけがをし、垂れ下がった自分の皮膚を切り取ってしまった事件以来、私も心が休まることがなかったが、ここまで奥歯に負担がかかっていたとは。抜歯のあと、血まみれで粉々になった残骸を見て、奥歯に申し訳ない気持ちになった。いわゆる「介護ストレス」というやつなのだろうか。さらに、インプラント手術はお金も大変かかり、いろんな意味でショックが大きかった。

帯状疱疹が目にまで

ストレスで寝ながら食いしばり、奥歯が粉々に…同居家族の介護ストレスを減らすには

 年明けには、朝起きたら、右のこめかみと髪の毛の中に、二キビのような発疹を発見した。 父の 疥癬(かいせん) 騒ぎ も落ち着き、ほっと気が抜けた数日後のことである。

 触るとピリピリ痛い。頭痛もある。「これは!」と思った。私は過去2度経験しているので、ピンと来た。帯状疱疹ほうしんに違いない。帯状疱疹は、疲労などで免疫が落ちた時に、神経内に潜んでいた水ぼうそうと同じウィルスが暴れだす病気で、体の右か左、いずれかに限定して、発疹とひどい痛みや全身 倦怠(けんたい) 感が出る。早く診断を受け、専用の抗ウイルス薬を飲むことが、悪化をさける道だ。父を通所サービスに送り出した後、急いで病院に行くと、自身3度目の帯状疱疹だと確定。この段階で薬を飲み始められたのは幸いで、その後、顔の湿疹も増えずにすんだ。

 しかし、発覚当日から頭に鋭い衝撃が走るような痛みがあり、横になってもだるくてたまらない。ちょうど仕事がヤマ場で、ずっと寝ているわけにもいかない。鏡を見たら、妖怪のように目が血走っており、今回は 三叉(さんさ) 神経で目につながるところがやられたとわかった。薬は飲んでいるし、そのまま夕方まで放置し、看護師の友人に話したところ、「すぐ眼科に行きなさい。目はひどくなったら取り返しがつかない」と。しぶしぶ、夜間にも開いているところをさがし、見てもらうと、怖いことを言われた。

 帯状疱疹で失明することは (まれ) だが、黒目がウィルスに侵されると角膜が傷ついたり濁ったりして、視力低下や視界の濁りが出ることもあるという。幸い、その時点ではまだ白目にしか影響がなかったが、進み方次第ではわからないそうだ。処方された薬もやっかいで、一つは1日4回入れる点眼薬だが、もう一つが何と目に入れる軟膏なんこう。1日5回、チューブから直接、目に入れるのだという。2つの薬の使用頻度が違って混乱するし、そもそも軟膏を目に入れるって、私には無理。何度やっても最後にまつげにはばまれ、まつげが何のために付いているかがよくわかった。仕方なく、小指でまぶたの際に軟膏を置いて、目を開け閉めしながら入れる方法でしのぐ。結果的に、症状は白目でとまり、視力低下は免れた。

 父の疥癬騒ぎの時のじんましんもそうだが、他にも介護生活の中での免疫低下の影響は結構あった。友人と会食中に笑いが止まらず涙が出たので、お店のおしぼりでふいたところ、夜中に鏡を見て「なんじゃこれ!」。まぶたの二重の部分が3倍ぐらいの太さになって大きくはれ、お岩さんのようになっていたことも。医師には、雑菌か、消毒薬が原因だろうと言われた。やれやれ。

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田中亜紀子(たなか・あきこ)
 1963年神奈川県鎌倉市生まれ。日本女子大学文学部国文学科卒業後、OLを経て、ライター。女性のライフスタイルや、仕事について取材・執筆。女性誌・総合誌などでは、芸能人・文化人のロングインタビューなども手がける。著書に「満足できない女たち アラフォーは何を求めているのか」(PHP新書)、「39.9歳お気楽シングル終焉記」(WAVE出版)。

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