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ニュース・解説

「中高年ひきこもり」の家族の方へ…鈴木晶子(NPO法人パノラマ理事)

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 5月28日に川崎市で無差別殺傷事件、6月1日には東京・練馬でひきこもり長男殺害事件が立て続けに起こり、「中高年のひきこもり」が注目を集めています。私は、15年間ほど、「支援」という形で多くのひきこもりの方と共に過ごしてきました。2年ほど前からはアメリカに暮らしていますが、その報道の過熱ぶりは伝わってきており、複雑な思いを持ってニュースをみています。

 川崎の事件で被害に遭われた方、ご家族や関係者の方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。報道されることによって、被害者やそのご家族・関係者の方が落ち着いて心の痛みをケアすることもできない状況があるようだとも聞いています。また、過去にこうした無差別殺傷事件などの犯罪被害に遭われた方やそのご家族、関係者の中には、その光景や過去の痛み・恐怖などを思い出し、不安で苦しい日々を送られている方もいらっしゃるのではないでしょうか。犯罪被害に遭うということは、人生が変わってしまう大きな出来事です。犯罪被害者の支援センターや支援団体などもありますので、少しでも心を軽くできるよう、ご自身をケアしてください。周囲の皆さんも、ご理解いただき、静かに見守っていただければと思います。

失業、事故、介護…事情は百人百様

「中高年ひきこもり」の家族の方へ…鈴木晶子(NPO法人パノラマ理事)

 一方で、今、ひきこもっている方やその家族の皆さんは、報道を見て不安や焦りなどの感情をお持ちではないでしょうか。まるで犯罪予備軍であるかのような報道まであるようですが、すでに多くのひきこもり経験者や関係者が発言しているように、ほとんどのひきこもりの方々は他者に危害を加えるような方々ではありません。

 「ひきこもり」というのは、何かを言っているようで、実は、ほとんど何も言っていない言葉だと思っています。「社会や人との関わりに難しさが生じ、孤立している」という状態像を定義したにすぎません。ですから、一口にひきこもりと言っても、実際はさまざまな人がいます。

 私が出会った中で、最も幼い頃からひきこもっていたのは、保育園にも幼稚園にも行かせてもらえず、学校もほとんど不登校のまま30代になっていた方です。「それは虐待ではないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。その通りです。虐待の結果、幼少期からひきこもっていたのです。ひきこもりは結果にすぎません。

 他にも、いじめで不登校になってひきこもった方、大学受験や就職活動がうまくいかずひきこもった方、働きすぎて心身の不調から離職せざるを得なかった方、会社が倒産した方、がん治療のために仕事を辞めざるを得なかった方、非正規雇用で30~40代まで働き続けて心が折れてしまった方、介護離職後に親が亡くなってから社会復帰が難しかった方、障害や病気で働くのが難しかった方、犯罪被害や交通事故に遭われた方、あるいはその家族の方々……これまで多様なひきこもりの方に出会いました。100人いれば100通りのひきこもりがあるのです。

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