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リングドクター・富家孝の「死を想え」

医療・健康・介護のコラム

AI(人工知能)が死因を判定する時代に!

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解剖に当たる監察医不足をカバー

 行政解剖は監察医によって行われますが、現在、監察医は圧倒的に不足し、大都市にしかいません。この監察医の不足を、「Ai」が補っているのです。なぜなら、「Ai」なら解剖しなくとも死因が特定できるからです。また、病理解剖においても、患者の遺族が解剖を承諾してくれない場合は、「Ai」が使われます。

 実際に「Ai」を行っている医師に聞くと、解剖だけでは気がつかなかった死因がはっきりすることが多いと言います。治療が適切に行われていたにもかかわらず、不幸な結果となることもあります。その際、死因をきちんと調べておけば、遺族に正確に説明ができるので、病院としては不信感を招くような事態を避けられるメリットもあります。

死因を機械が判定する時代へ

 そこに「AI」が登場します。最近は、「AI」のディープラーニング(機械学習)が進み、診断精度が向上したからです。もはや、熟練の医師より上回るという調査結果も発表されています。

 たとえば、英国のある医療系スタートアップ企業が開発したAIは、人間の医師の精度スコアが65%だったの対して、98%を記録したと報道されました。日本でも同様の調査結果が、医療用AI開発企業や大学などで次々に発表され、すでに医療現場に導入されています。現在、厚生労働省は医療分野でAIを活用するためのシステム構築を進めています。死因判定は、人間ではなく機械がする時代になろうとしています。

死因判定の責任は最終的には医師

 ただ、ここで大きな問題があります。いくらAIの精度が高くても、それでいいのか。AIの判断に誰が責任を持つのかということです。現在の医師法は、医療行為を行うのは医師に限ると定めています。AIを活用しても、最終的な判断は、やはり人間の医師が行わなければならないのです。

 遺体の診断だけではなく、病気の診断でも今後、AIの活用が広がってきますが、そこでも同じ問題に直面するでしょう。(富家孝 医師)

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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