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医療・健康・介護のコラム

[ロックシンガー ダイアモンド☆ユカイさん](上)無精子症だった俺…心・体・お金「三重苦」の治療越え 今57歳で3児の子育て中

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何度も失敗した不妊治療 あきらめかけた矢先に

――現在57歳。仕事と3人の子育ては大変ですか。

 やっぱり、子育ては若い方がいいね。年とっている分、精神的には落ち着いて余裕もあると思うけど、さすがに若いパパたちはタフだね。50歳も離れた初老の人間が天使たちと付き合うのは、肉体的に疲れる(笑)。

 でも、本当に無邪気だよね。欲張りで、ジェラシーもすごい。人間の本質をむき出しにして、ストレートにぶつけてくる。そんなところに、逆に、いやされる面もあるよね。子どもを授からなかったら、こんな経験はできなかった。有り がた いことだね。

――無精子症でしたが、むしろ子どもが多いですね。

 世間知らずなロックンローラーが、「無精子症」という、何だかわからないものに出くわして、「もしかして男じゃないの? 俺」ってすごいショックだったね。40歳もとうに過ぎていたから、「俺は子どもを授かれないのか?」と落ち込んだよ。

 不妊治療を受けて、子どもを授かるのがこんなに大変だと知り、世の中に苦労している人がたくさんいることも知った。経験しないとわからないよね。自分の場合、精子はあるけど精管が詰まっていたので、精巣から精子を採って卵子に入れる顕微授精をやったんですよ。お金はかかるし、肉体的にも精神的にもつらい三重苦。何度も失敗して、「やっぱり難しいな」とあきらめかけていた矢先、子どもを授かり、ありがたさはひとしおだったよ。

「私たちは早く死んじゃうから、きょうだいを」と妻が…

――その後、さらに不妊治療を続けましたね。

 俺は、ニーナひとりを大切に守っていくつもりだったけど、しばらくして妻が、「私たちは年寄りだから早く死んじゃう。助け合えるのは家族だから、ニーナにきょうだいがほしい。挑戦したい」と言い出したんですよ。

 不妊治療って、挑戦する限りは可能性があるけど、限りなく成功確率は下がっていく。金銭的にも肉体的にも、何回もできる治療じゃないよね。おれは、難しいだろうなとは思ったけど、もし弟か妹どっちかできればいいな、くらいの気持ちだったね。

 それがまさか、想像もしない双子。奇想天外というか、「一体、このストーリーを誰が描いたんだ?」と思ったよ。2人が家に来た時、1歳半のニーナのびっくりした表情は忘れられないね。同じような服を着た二つの物体が寝ていて、「これ、何だ?」といった感じ。

ユカイさん提供

 ディズニーアニメ「トイ・ストーリー」の日本語版主題歌「君はともだち」を俺が歌わせてもらっているんだけど、その中で、おもちゃの親分格のウッディが、宇宙人みたいなロボットのバズがやってきて、みんなの注目を集めたことに嫉妬するんだよね。ニーナもウッディみたいな気持ちだったんだろうな。

 家の中は双子中心になって、ママもそっちの世話が中心。その分、俺は、ニーナにぴったり寄り添ったんだ。双子の出産は入院期間も長かったんで、ニーナが「ママがいない」って泣くと、「パパがいるよ」って慰めて、毎日一緒に寝ていたよ。だからニーナは、ずっとパパっ子。今も二人の間には、強い結束があるんですよ。

ダイアモンド☆ユカイさん

ダイアモンド☆ユカイ
 1962年、東京都生まれ。86年、伝説のロックバンド「レッド・ウォーリアーズ」のボーカルとしてメジャーデビュー。人気絶頂期の89年、わずか3年で解散。その後、「ダイアモンド☆ユカイ」としてソロ活動開始。現在は音楽活動を中心に舞台、映画、バラエティー番組に出演するなど幅広く活動。ソフィア・コッポラ監督の映画「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年)でCMディレクター役。2016年、ミュージカル「ミス・サイゴン」でエンジニア役を熱演。6月から上演中のミュージカル「リューン~風の魔法と滅びの剣~」に出演。

私生活では10年、47歳で初めてパパになった。著書に「タネナシ。」(講談社)、「育爺(いくじい)。」(同)など。

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