依存症
シリーズ
ゲーム依存と回復(3)時間減らし自立の道歩む
壁に開いた直径20センチの大穴を見て、我に返った。「えっ、俺が蹴ったのか。俺は、こんなにやばい状況だったのか」――。
神奈川県横須賀市のBさん(27)は、ゲーム依存を脱しようと心に決めた日のことを振り返る。
福島県で生まれたBさんは、中学2年生の時、オンラインゲームに夢中になった。剣士や魔法使いが魔物を倒す。勉強は苦手でも、ゲームは費やした時間の分だけ強くなれる。チャット機能でつながるゲーム仲間もできた。
高校卒業後、過疎が進む地元での仕事が安定せず、仕事がない時は、実家の自室で同じゲームにのめり込んだ。ふだんは1日16時間。5日連続で没頭し、徹夜したこともあった。
次第に同居する母や兄との関係が悪化し、2017年秋、ゲームをしないことを条件に、県内の叔母の家に身を寄せた。町営体育館で書類整理などを行う臨時事務職員の職を得た。
しかし、翌年1月、“事件”が起きたのだ。ゲームができないイライラが募っていた。無意識に体育館の事務所の壁を蹴り、穴を開けてしまった。「古い建物だし、弁償とかいいから」。上司にそう言われたが、申し訳なさでいたたまれなくなり、仕事をやめた。
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