スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす
医療・健康・介護のコラム
選手も指導者もスポーツ医学を学ぼう!
けがをきっかけに興味持ち
自分がけがをしたことで、スポーツ医学検定に関心を持ち受検した、という方も数多くいます。
大学生の女子サッカー選手のケースです。
大学2年生のTさんは、サッカーの試合で膝前十字 靭帯 を損傷し、靭帯再建の手術を受けました。術後、理学療法士にリハビリテーションを指導してもらう中で、たまたま病院の壁に貼ってあったスポーツ医学検定のチラシが目に入り、関心を持ちました。チームメートを誘って、まず3級を受けることにしました。
スポーツ医学検定の勉強は、公式テキストが中心になります。テキストはイラストや写真を豊富に使い、赤シートで重要語を隠せるようにしているほか、練習問題も掲載して、一般の方でも学びやすい一冊に仕上げています。これまで実施された5回の検定に、延べ4000人以上の方が参加しています。少しずつ認識されてきていますが、これからもっと、全国に広めていきたいと思います。
それでは、Tさんの経過です。
Tさんは公式テキストを読んで勉強し、無事3級に合格しました。検定に向けた勉強を通じて、けがをしないためのストレッチや体幹トレーニングをしっかり行う習慣も身につきました。また、けがをした時のアイシングも行うようになり、競技に復帰した後は、リハビリテーションや段階的に復帰するためのメニューが大切であることを、チームに提言するようになりました。
けがなく競技を楽しんで
スポーツ医学を勉強しても、けがをゼロにするのは困難です。しかし、自分がけがをしたことをきっかけに、受検をし、合格した後は情報の発信源になってくれる人がいます。より安全なスポーツ環境を構築するためには、そうした人が増えていくことが大切です。
ただ、偉そうなことを書いてきましたが、昨年の夏、私がアキレス 腱 を断裂したことを隠しておくわけにはいきません。タックルのないラグビー(タッチフットボールといいます)で、瞬間的に踏み込み、断裂しました。スポーツ医学検定を作っておいて、自分のコンディショニングはおろそかにしていたという情けない、恥ずかしい話です。ですが、開き直って話のネタにしています。関西人としては、少しおいしいという気持ちがないといえば、うそになります。
でも皆さんは、できるだけけがしないよう、スポーツ医学を学んで競技を楽しんでくださいね。(大関信武 整形外科医)
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【スポーツ医学検定のご案内】
私たちは、スポーツに関わる人に体やけがについての正しい知識を広めて、スポーツによるけがを減らすために、「スポーツ医学検定」を実施しています。スポーツ選手のみでなく、指導者や保護者の方も受けてみませんか(誰でも受検できます)。
2019年12月8日に開催する第6回スポーツ医学検定の申し込みはホームページやFacebookで案内します。
本文のイラストや写真の一部は、「スポーツ医学検定公式テキスト」(東洋館出版社)より引用しています。
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日本脳神経超音波学会に来ています。
超音波の進歩とトレンドは、僕の主領域であるCTやMRIと画像診断の幅を分け合うこともあり、企業ブースではマーケティングとの兼ね合いも含めて勉強させていただきました。
機械や扱う人の特性、社会性との兼ね合いもあり、局所の機能画像の進歩が主で進む一方で、全身スクリーニングやフュージョン画像などでの使われ方も完全に否定されたわけではありません。
先日の、日本神経学会のAIセッションでは、脳や肺など構造が比較的単純な臓器のCTやMRIの自動読影が急速に進むであろうことを学びましたが、自分の中の素案に似たもの、あるいは、もっとスマートなアイデアを思いつく人がいれば、いま不可能と思われている分野やデバイスでの自動診断も急速に進む可能性はあります。
しかし、自動診断された後の確認やTPOに合わせた標準医療への寄り添いはしばらくは人間の手元にあるでしょう。
その中で、多くの医療人にとって、大事なのはマイペースでも学習し続けることとだと思います。
当り前ですが、ほとんどの患者や医師を含む医療人は凡人であり、日本の医療は最大多数の最大幸福がメインルートですから、進化するチーム医療における変化する役割分担が大事になります。
AIが言ってることの方が高度で丁寧なら、AIに耳を傾けてもいいのかもしれません。
タブレット学習なんか見ればすでに始まっているのかもしれませんけどね。
スポーツ医学検定もいずれはそうなっていくのでしょうか?
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博多のIVR学会に行って、ワークフローの整理や人材育成の演題を発表してきました。
人材難とか社会問題が勝手に解決されるはずはないので、システムや利害調整を推進する趣旨です。
内容もネット公開してますが、何故か循環器内科医にヒットされ勧誘され日循に入会しました。
その仕事の何割が放射線科専門医の手元に残るかはわかりませんが、画像診断やIVR(画像下治療)が日本というハイテク国家が世界で生き残っていくためのキーポイントの一つなのは間違いないので、そういう部分も政治家や企業団体にご理解いただいて、一方で、一般の方や他科の医師、かかりつけ医にも理解してもらうのが大事だと考えています。
僕も大学病院を6年間で辞めたので、上層部の政治的事情はよく分かりませんが、一方で、一般の人にあまり知られていない画像診断やIVRの状況に疑問を感じます。
スポーツ救急や整形外科もそうですよね。
誰かが知識や技術及び繋がりを持つことで、寿命やQOLの改善に向かいます。
今までの文化や関係も大事ですが、より良い医療への共通理解と流れを作ることで、信頼や権威を保つことができます。
専門医制度も大揺れですが、各学会も非専門医や非医局医が所属し続けたくなるメリットを提示して、より大きな医療システムを目指してほしいと思います。
論文を書く人は偉いのかもしれませんが、論文の内容をかみ砕いて、運用できる医師や医療者は同じく大事だと思います。(スポーツ医学検定にはその意味合いもあります)
その繋がりの厚みが、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック、大阪万博とイベントをこなしながら進歩していくといいですね。
今年ちょろっと声をかけられましたが、整形外科医不足の中で、整形外科系の勉強も続ける他科医も西医体の手伝いに狩り出されるかもしれません。
よっぽどの大事故でなければ、現場から救急車までのトリアージや初期対応くらいは理解していますが、大事がないといいです。
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