心療内科医・梅谷薫の「病んでるオトナの読む薬」
医療・健康・介護のコラム
「浮気で生まれた子!」と娘をなじる夫…止まらない下血が35歳女性に教えた「大切なこと」
5歳の娘に嫉妬する夫 ついに決意
彼女にとって5歳の娘は、かけがえのない宝物だった。しかし、夫は、P子さんと娘との仲の良さにさえ嫉妬した。
二人で話していると、突然怒りだし、暴言を吐き続ける。「おまえはオレの子じゃない!」、「浮気で生まれた子!」、「オレのことを二人でバカにするんじゃないぞ!」……。泣きじゃくる娘を見て、P子さんの心は千々に乱れた。
外来で、まずは潰瘍性大腸炎の薬であるメサラジン製剤を処方し、炎症が軽くなるのを待つことにした。
P子さんはある日、決意に満ちた顔で外来を訪れた。そして、「先生、私やっぱり離婚しようと思います!」と打ち明けた。
「あれから、いろいろ考え悩みました。これまで何度も離婚しようと思っていたけれど、片親になるのは、娘にとってよくないと我慢してきました。でも、今度ばかりは、大腸が『もう限界だよ!』って教えてくれたような気がするんです。もちろん、離婚するのが大変だとはわかってます。病気や小さい子どもを抱えて仕事を続けるのもつらい。でも、私の胃と腸は、ずっと私の『本音』を語ってた。私が抑え込んでいた気持ちを代弁してくれていたのだとようやく気がつきました。この病気は、きっと薬だけでは治らないと思うんです。私ががんばって、ストレスを減らしていかないと、娘の人生までダメにしてしまう。そう思えたんです」
P子さんは、これまでになく力強い声でそう言い切った。
胃腸が教えてくれた
それから半年。ようやく彼女の離婚が成立した。
「予想してはいたけど、本当に大変でした。改めて、こんなに情けなくてどうしようもない人とずっと一緒にいたんだと思い知りました。DVもあるということで、接近禁止になり、両親も私も、少しホッとしました。おかげで、最近は出血もないし、体調もいいんです。胃腸から大切なことを教えてもらうなんて、本当にあるんですね」
P子さんのスッキリした表情に、私も救われた気持ちになった。(梅谷薫 心療内科医)
*本文中の事例は、プライバシーに配慮して改変しています。
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私も子どもの頃、父親に精神的に虐待されました。シカトされ、話しかけると睨み付けて無視。結局、愛人を作り出ていきました。私がお腹にいるとき暴力を母...
私も子どもの頃、父親に精神的に虐待されました。シカトされ、話しかけると睨み付けて無視。結局、愛人を作り出ていきました。私がお腹にいるとき暴力を母に振るったらしい。今考えると、この例のように自分の子どもではないと考えていたのではないかと思う。
この例は離婚して正解です。
離婚後、私は母の親族にいじめられましたが、この娘さんが悲しい思いをしないようにしっかり守ってあげてと思います。
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まにあってよかった・・・
okko
P子さん、大変でしたね。よくがんばられましたね。 でも何よりよく離婚を決断されて、その後の諸々を乗り切られましたね。 あなたが我慢していたら、娘...
P子さん、大変でしたね。よくがんばられましたね。
でも何よりよく離婚を決断されて、その後の諸々を乗り切られましたね。
あなたが我慢していたら、娘さんがどうなっていたかと思うと・・・
リアルに母子家庭は大変です。でも、どんな大変も、生きていればこそ、です。
P子さん、あなたのこの選択を
娘さんがもう少し大きくなったら、ぜひ伝えてあげてください。
もしかすると、娘さんがいらっしゃらなかったら
あなたは、あなたの身体の声を聞くことができなかった、かもしれません。
あなたが、あなたの身体の声を聞けるようになるために
娘さんがあなたのところにきてくれた、ようにも思えます。
人間誰しも迷い惑っていくものですが
その中での、あなたの決断と、勇気と、気概に、拍手喝采です!
私(女62歳)も世間的には人生負け組のようなものですが
この結果を知っていても、人生の岐路でもう一度同じ選択を迫られたら
100%同じ選択をするであろう気づき、絶望したことがありました。
あれもこれも、しゃぁ〜ない、です。
でも、今おそらく「私」より大切な「娘さん」がいらっしゃるPさん。
身体が教えてくれた、ギリギリの選択に涙がとまりませんでした。
Pさんと娘さん、きっと幸せになります!!!
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