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コラム

[元SKE48 矢方美紀さん](上)「乳がん」25歳で左胸全摘 それでも私が乳房再建をしないのは…「今の自分を誇らしく」

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 小林麻央さんの乳がんの報道を見て、軽い気持ちでセルフチェックしたら、左胸にポコッとしこりが……。アイドルグループSKE48の元メンバーで、現在は声優を目指して活動中のタレント矢方美紀さん。1年半前に思いがけず、自ら乳がんを見つけました。20代の元アイドルが病気を公表して闘病を続ける中で、感じたことや、人生への向き合い方の変化などを語ってくれました。(聞き手・藤田勝、撮影・小倉和徳)

フルコースで治療しながら仕事継続

[[元SKE48 矢方美紀さん](上)「乳がん」25歳で左胸全摘 それでも私が乳房再建をしないのは…「今の自分を誇らしく」

――25歳で全摘手術を受け、その後、抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法とフルコースの治療。長かったですか。

 あっという間でした。もう1年半か、という感じです。私は1日を区切って器用に動ける人間ではないので、治療が始まったら、それだけでいっぱいいっぱいになっちゃうかなと思っていました。でも、ずっと仕事も続けながら、治療、プライベートの時間と、うまくやりくりして過ごすことができました。

――特につらかった時期は?

 昨年5月に抗がん剤治療を始めて、最初の1か月ほどは、薬に体が慣れなくて大変でした。2週間おきの点滴でしたが、直後3~4日はすごくだるくて起き上がれず、体調が戻ってから徐々に仕事をするようにしていました。でも、3回目、4回目と治療が進むにつれて体が慣れてきて、1日寝ると翌日は元気が戻るようになりました。

体温調整が困難、手術後のつっぱり感……小さな副作用は続く

――現在の体調はいかがですか。

 今はホルモン療法の服薬、注射を続け、定期的に検査に通っています。それ自体は負担ではないですが、小さな副作用はあれこれ続いています。

 女性ホルモンが抑えられているので、更年期症状のように体温調整がうまくできません。きょうは雨なので、寒いと思って1枚多く上に着たんですが、逆にサウナに入ったみたいにどっと汗をかいてしまいました。突然、ゴワッと暑くなります。家で猫を飼っていますが、部屋を冷やし過ぎると猫が風邪を引いてしまうので、私はなるべく薄着をして、冷たいものを飲んで体の中から冷やすようにしています。

 左胸を全摘してリンパ節も取ったので、つっぱるような違和感もあります。二の腕や左胸は触っても感覚がなく、かゆみが出たときにかこうとすると気持ち悪いです。体のバランスも崩れやすいので、ダンスやストレッチで肩の筋肉を鍛えています。

――昨年4月の手術後、乳がんを公表した理由は?

 手術だけで治療が終わればいいのですが、抗がん剤治療をやるとなると体に変化が出て隠し切れません。どう言い訳しようかと悩み、結局、いろいろ言われるかもしれないけれど、公表した方が後々つらくないかなと思いました。

 ブログで公表すると突然、ネットやテレビで私のことがニュースに取りあげられました。25歳の年齢で乳がんになったことに正直、自分も驚きましたが、世間の人の驚きはそれ以上だったんだなと思いました。

 実際、病院では私と近い年齢の人はほとんど見かけません。でも公表してから、全国には若いがん患者もたくさんいることを知り、私も特別視される存在ではないと思うようになりました。自分の経験が、同じような若い患者さんだけでなく、健康で「自分はだいじょうぶ」と思っている人にとっても、ひとつの気づきになればと思います。

――がん治療で妊娠する力が損なわれることもあり、最近は卵子を凍結保存するケースもありますが、それはしませんでしたね。

 30代半ばまでホルモン療法が続くので、自分が子どもを産める体に戻るのかわからないし、年齢的に子どもを産めないリスクもあります。でも、今は30代後半以降の出産も珍しくないし、先生から「抗がん剤治療を受けても産める可能性はゼロではない」と言われたことが、一番の理由です。子どもがいない夫婦だっているし、卵子を凍結保存すれば維持費もかかります。自分にとって正解はないなと思いました。どんな結果になっても、自分の選択をプラスにしていきたいです。

――当面、乳房再建も予定がない?

 最初は再建するのが当たり前と思っていました。治療が一段落したらするつもりで、しばらく胸がない期間が続いた時、周りから「落ち込みませんか」とか「温泉やプール、悩みますよね」などと言われました。抗がん剤で髪も抜けるし、どう過ごせばいいかと思って、見た目をケアする施設に行ったり、周りのアドバイスも受けたりしました。そうした中で気づいたのですが、私の場合、胸がないこと自体には想像していたほど落ち込んでいないし、テンションも下がっていませんでした。

 海外のサイトで、乳がんで胸を失った女性たちの上半身裸の写真作品を見たんです。みんな、すごくすてきな笑顔でした。今の自分を自分だと思って誇らしく生きる、それが一番自分らしいと思いました。ひとりひとり、価値観は違います。私の場合、また手術で体を切ることへのストレスも強かったので、今は再建はしないと決めました。

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