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コラム

「さあ、バリアフリー温泉旅行に出かけよう!」山崎まゆみ著

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 高齢で足腰が弱くなった親、体に障害がある家族や友人などを温泉に連れて行ってあげたい―。その願いを実現するための情報やヒントが満載されている。

 ヨミドクターでコラム「心もとろける癒やしの温泉」を連載中の温泉エッセイスト、山崎まゆみさんが、宿選びのポイントから、必需品のチェック、入浴時の注意、利用できるサービスなどを丁寧に紹介、解説している。

 近年、旅館やホテルのバリアフリー化が進んでいる。各地の温泉旅館のバリアフリー客室は人気が高く、大型連休や夏休み、年末年始は前年から予約が埋まるほどだという。

 「バリアフリー」という言葉ひとつで「大丈夫」と思い込んでしまいがちだ。しかし、「客室はバリアフリーでも、大浴場には手すりが一部にしかついていなかった」「湯船の縁が高くて、またげなかった」などの理由で、「宿泊はできたが、温泉には入れなかった」というケースが少なからずあるそうだ。本書は、十分な下調べを行ったうえで、トラベルヘルパー(外出支援専門員)や温泉地の入浴介助ヘルパーなど、プロのサービスをうまく利用することを勧めている。

 第1章の「バリアフリー温泉 家族旅ルポ」は、山崎さんが同行取材した三つの事例が紹介されている。東京の有料老人ホームに暮らす父を、娘が故郷の新潟の温泉に連れて行ったケースでは、事前の予約から新幹線での移動、温泉の入浴、食事、思い出の地の訪問、そしてホームに戻るまでが時系列でリポートされており、注意するべきポイントが具体的で分かりやすい。

 また、第3章では「行きたい温泉旅館を決める」「交通機関を調べる」「連れて行きたい人の身体の状態を知る」「旅館から施設情報を聞きながら相談する」など、下調べに必要な事項が順序立てて解説されているほか、「バリアフリー温泉に持参すると心強いモノ」も列挙されていて、旅行準備のチェックリストとして使える内容になっている。

 山崎さんは「湯上がり、人は最高にいい表情をします。取材を重ねるほど、バリアフリー温泉の楽しさや奥深さ、存在意義、そして温泉の持つ力を痛感します」という。これまで温泉や旅をあきらめていた人やその家族の背中を押してくれる一冊だ。

(河出書房新社 1350円、税別)

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