40代から備えよう「老後のお金」 楢戸ひかる
医療・健康・介護のコラム
「あの世でもよろしく」 共同墓に入る他人同士が仲良く…「墓友」をご存じですか?
「墓友」という言葉、耳にしたことありますか? 一般的には、家族以外と合葬する共同墓などを利用する人たちが、同じお墓に入る者同士、生前から親交を深めることを指すようです。私は、最近知りました。

同じお墓に入る人同士の“部活動”
ある日、同級生から「母がよく墓友と出かけているみたい」と聞きました。「墓友って何?」興味を持ったので同級生にお願いし、その母、京子さん(仮名)のお話を聞かせてもらうことに。京子さんは、子供が2人。それぞれ結婚して、1人は地方、1人は隣県で暮らしています。夫と6年前に死別後は、一人暮らしです。
京子さんは、開口一番、「墓友に、どんなイメージを持っていますか?」と逆質問。私が口ごもっていると、「今、家族の形態はどんどん変化をして子供がいない人も多いし、そもそも先祖代々のお墓に入ろうと考える人も減ってきていると思うんです。多くの人は、『自分のお墓は、どうなるのかな?』と漠然とした不安を抱えているんじゃないかな」
京子さんは、自分のお墓について考えたとき、「自然に帰りたい」との思いが大きくなったそうです。そこで、いわゆる樹木葬形式のお墓を選びました。そのお墓には会員制度があって、いつかお墓に入る人たちによる“部活動”のような催しがあるそうです。そこで知り合った人たちとメーリングリストを作り、ウォーキングや勉強会、そして先に亡くなった仲間のお墓参りもしているそう。「この年になって、ゆるくて優しい交友関係ができました」(京子さん)
「女性のための共同墓」は永代供養含め28万円
女性ひとりの老後を応援するNPO法人「SSS(スリーエス)ネットワーク」では、「最後に自分が眠る場所が決まると安心」という女性の声を受け、2000年に「女性のための共同墓」を建立しました。会員は、約850人。入会金1万円を支払って会員になると、共同墓と会員専用のお葬式プラン(SSS直葬プラン)を利用することができます。共同墓の利用料金は、永代供養料などを含めて28万円です。存命中は、同ネットワークの年会費(正会員1万円・会報の講読会員は5000円)が必要ですが、死後は管理費などのお金の徴収は一切ありません。

共同墓の契約者の名前がずらりと並ぶクリスタルボード
代表を務めるエッセイストの松原惇子さんは、「私たちは、お墓は死んでから入るだけでなく、生きているうちに集う場所と考えています」と言います。共同墓はバラに囲まれ、見ごろの時期に、その年に亡くなった会員の合同追悼会を行っているそうです。
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