Dr .ヒラの「知って安心 市販薬の話」
医療・健康・介護のコラム
解熱鎮痛薬で起きやすい胃痛 胃にやさしいのはアセトアミノフェン
今回登場するアセトアミノフェンで、日本の市販薬でよく使われている解熱鎮痛成分が一通り出そろいます。解熱鎮痛薬を飲んで胃痛の副作用を経験した方もおられると思いますが、今回は、後半で胃にやさしい解熱鎮痛成分について説明します。最後までお付き合いください。
50代の女性。ある朝、起きたらのどの痛みと発熱があり、「かぜかな?」と思いました。かぜをひいても、あまり病院や診療所を受診しない方で、まずは市販のアセトアミノフェンの解熱鎮痛薬を服用し、経過をみることにしました。
過去に、他の解熱鎮痛成分であるアスピリン(=アセチルサリチル酸)、イブプロフェン、ロキソプロフェンの入った市販薬を飲んで、いずれも胃痛が出てしまったため、解熱鎮痛薬にはアセトアミノフェンの製品を選ぶことにしていました。アセトアミノフェンでは胃痛が出たことはないそうです。
アセトアミノフェンの市販薬を服用したところ、のどの痛みは軽くなり、38度台だった体温も37度台前半にまで落ち着き、少し楽になったそうですが、2日ほど経過しても、鼻水や鼻づまり、 咳 がまったくなく、「過去に経験したかぜと違うな」と感じていました。
そこで、近所の診療所を受診したところ、 溶連菌 の感染による急性 扁桃 炎であることがわかりました。溶連菌に効く抗菌薬を服用することになり、その後は順調に回復しました。
「いつもと違う」のどの痛み かぜ以外の病気の場合も
このケースで学ぶべきポイントは2点です。
1点目は、普段のかぜの経験から、いつもと違うことに気づき、受診を判断された点です。かぜをひいたら、その経過中に、のどの痛みや鼻水・鼻づまり、咳・ 痰 が出るのが一般的です。それらの症状がどこかのタイミングで表れ、健康な方であれば、通常、1~2週間程度で症状は落ち着きます。特に薬を使わなくても、自然に治ります。
この女性は「かぜであるなら、のどの痛みだけでなく、鼻や咳の症状はどこかのタイミングで出るものだ」という認識をもっており、「いつもと違う」と感じ取り、受診されました。
のどが痛い時、かぜをひいたと感じる方が多いと思いますが、時に、かぜ以外の病気の場合もあります。症状が強かったり、いつものかぜと違う症状が表れたりした場合は、受診を考えやすいですが、「出るはずの症状が出ない」を理由に受診を考えるためには、一定の知識や経験がないとなかなか難しいものです。この女性のように、普段からの学びと経験を大切にする態度が必要です。
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NSAIDsは胃薬と一緒に飲むことも多いですね。
重症症状をマスクしない意味でも、僕はNSAIDsよりもアセトアミノフェンを多く使います。
この辺も、医師や患者の好みや個性ですね。
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