認知症介護あるある~岡崎家の場合~
医療・健康・介護のコラム
認知症の父のパジャマが「地味すぎる」…ヒョウ柄大好きハデハデ母からまさかのダメ出し

漫画・日野あかね
施設から「ティッシュをご持参ください」
以前このコラムで、何かあるごとにティッシュペーパーを箱からシュッと出して使いまくる父さんの話を紹介しました。これ、「認知症介護あるある」みたいで、「うちの親も一緒です」「亡くなった母がそうでした」といったコメントをたくさんいただきました。
そしてなんと後日、ショートステイで父さんがティッシュをあまりに使い過ぎるということで、施設から、「可能であれば、ティッシュを持参してください」とお願いされる事態になってしまいました。
ティッシュを愛する利用者さんには慣れているはずの介護スタッフをも困惑させる、父さんの浪費ぶり。私たち家族も、改めて驚くやら恐縮するやらでした。そして今回から、父さんはティッシュの箱とともにショートステイに行くことになったのです……。
買い出しのついでに頼まれて…
そんな父さん専用のティッシュを買いに行くときに、「父さんがショートステイに持っていくパジャマがくたびれてきたから、新しいパジャマも買ってきてくれる?」と、母さんに頼まれました。
認知症が進んで食事や排せつが困難になると、服を汚すことが増えます。汚れが目立たない方がいいだろうと、私なりに気を利かせてグレーのごくごくシンプルで当たり障りのないものを購入しました。しかし、そのパジャマを母さんに渡すと、「なにこれ~、すごく地味じゃない。もっと派手なのはなかったの?」と、まさかのダメ出しを受けたのです。
「目立つ服」のメリット
戦後生まれで高度成長期に青春を 謳歌 した母さんは、「おしゃれ大好き、楽しいこと大好き」なまま年を取った、華やかな中高年です。片や私は、激烈な受験戦争をくぐり抜けて大学を出てみれば、バブルはとっくに崩壊し、超氷河期に突入していたロスジェネ(失われた世代)です。「普通の幸せがありがたい」と、思考もファッションもすっかりつつましく保守的になりました。
そんなわけで、お互い日頃から趣味が合わないのですが、父さんまで母さん好みのハデハデにしなくちゃダメなの?
「施設で着るんだし、これでいいのでは!?」と、私が反論するも、「施設で着るからこそ、派手なのがいいのよ。暗い色より明るい方が、元気がでるじゃない。あと、お洗濯してもらったときに派手で目立てば、すぐに『岡崎さんのものだ』って、わかってもらえるし」と、母さんなりの持論を展開します。
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