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なが~く、楽しくお酒と付き合うために 重盛憲司

医療・健康・介護のコラム

一気飲みだけじゃない、急性アルコール中毒の危険

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 皆さんこんにちは、精神科医の重盛憲司です。前回は、「 ()を知り()を知れば百戦危うからず」という言葉を引用し、アルコール含有量など、敵(お酒)を知ることの重要性を中心に述べました。今回は、お酒という“敵”の最大の特徴である“酔い”について簡単に触れましょう。

 お酒と長く、上手に付き合っていく上で、この“酔い”について理解しておくことは大切です。酔いによるリスクは、二つの大きなものがあります。一つ目は、急性アルコール中毒です。

 急性アルコール中毒というのは、アルコールを含む飲料を摂取して、一時的に意識障害を起こすことをいいます。第三者から見ると、「酔いつぶれている」ように見えます。

 皆さんは、急性アルコール中毒と聞くと、どのような状態をイメージするでしょうか。大学や職場での新人歓迎会で、若者が先輩から一気飲みなどで無理にお酒を飲まされ、救急搬送される姿が思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか。

 確かに、急性アルコール中毒で救急搬送される患者数は、20歳代の若者が多数を占めます。しかし、女性や高齢者、少量のお酒を飲んだだけでも顔が赤くなる人など、アルコールの分解に時間がかかる人も、急性アルコール中毒のリスクが高いのです。「自分は、若者のように一気飲みやむちゃな飲み方はしないから関係ない」と思っていると危険です。

 急性アルコール中毒によるリスクは、意識レベルの低下、 嘔吐おうと 、呼吸数や血圧の低下などによって引き起こされます。泥酔状態で嘔吐すると、吐しゃ物で窒息する危険があります。さらに血中アルコール濃度が高まり、 昏睡こんすい 状態になるような場合、呼吸や循環の機能を司る中枢神経が抑制されて死亡することもあるのです。

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shigemori_prof

重盛憲司(しげもり・けんじ)

心療内科・精神科医 1952年、長野県生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、慶応義塾大学医学部精神・神経科学教室を経て、国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)にてアルコール依存症などの治療に携わる。また、厚生省(当時)でアルコール関連問題対策を担当。一方、自身では長年にわたり様々なお酒を愛飲。クラフトビールやシングルモルトウイスキーが近年のマイブーム。趣味は学生時代から続けるアイスホッケーと、自宅近くのマリーナからヨットで海に出ること。現在は洗足メンタルクリニック院長。テレビ番組の出演多数。

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