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うんこで救える命がある 石井洋介

医療・健康・介護のコラム

積もったストレスが判断を鈍らせる

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死にかけて湧いた「生きる」意欲

 「我慢して仕事をしていれば次第に慣れていく。石の上にも三年頑張れ」という先輩たちの意見は正しい面はあります。ただ、3年続けられた成功者の意見だと意識しておいたほうがいいのではないでしょうか。我慢して続けても、変化に対応しきれず追い込まれる人もいます。

 僕自身、高校生の頃、精神的に極めて厳しい状況を経験しました。大腸の病気を患い、急にトイレにかけこむような生活となり、不登校となりました。誰からも理解されずに孤独を感じていました。電車のホームで「黄色い線をまたいでしまえば楽になるんじゃないか。生きていても意味がない」と自死まで考えました。

 何とか高校を卒業しましたが、病気は悪化。最終的には大量の出血が起き、緊急手術でなんとか大腸を全て摘出。一命はとりとめましたが、人工肛門の状態となりました。孤独や障害が重なり、気持ちはますます落ち込みました。

 この時に本当に死にかけて初めて、「死にたくない。どうせなら自分の思ったように自由に生きてみてから死にたい」と思ったのです。それから「生きたいようにだけ生きる、自分は人の役に立てる人生を歩もう」と決め、今日も生き延びています。

「判断を保留にするのは悪くない」

 もし、つらくて死を意識している人がいたら、生存者として伝えたいのは、「判断を保留にするのは悪くない」ということです。どうしてもつらく、しんどいことがある日は、ただ、ぼーっと過ごし、ひとまず生き延びてほしいと思っています。

 極めて強いストレスを抱えている状況では、判断力や思考力が低下しているからです。普段であれば冷静に考えられるものも、あらゆる物事を考えるのが面倒になり、投げやりになってしまうものです。そんな時に命に関わる重要な決断をしないでほしいのです。ひとまず生き延びてさえいれば、問題を乗り越える方法は必ずあります。余裕が出てきた時の問題を解決するための方法などは、改めてお伝えしたいと思います。

 追い込まれた状況で、どうしても一人で重大な判断をしなければいけない場合には、とりあえず生き延びる選択をしてほしいと思っています。人生はつらく厳しいことの連続です。「きっといいことがあるから我慢しろ」とは言えません。元気な人が言う「仕事<命」の式も、しんどい時には頭には入らないでしょう。それでも急いで命に関わる判断をしないでほしいと、僕は願っています。

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ishiyousuke_prof

石井洋介(いしい・ようすけ)

 医師、日本うんこ学会会長

 2010年、高知大学卒業。横浜市立市民病院炎症性腸疾患科、厚生労働省医系技官などを歴任。大腸がんなどの知識の普及を目的としたスマホゲーム「うんコレ」を開発。13年には「日本うんこ学会」を設立し会長を務める。現在は、在宅医療を展開する「おうちの診療所 目黒」に勤務し、株式会社omniheal代表取締役、秋葉原内科saveクリニック共同代表、一般社団法人・高知医療再生機構特任医師などを兼務。著書に「19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと」(PHP研究所)など。

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1件 のコメント

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健常者に負けてはダメ

syd

僕は家族性大腸腺腫症(FAP)で人工肛門生活二十数年になるが、常にストマを理由に泣き言は言わない。 健常者に負けるどころか健常者以上の仕事をしな...

僕は家族性大腸腺腫症(FAP)で人工肛門生活二十数年になるが、常にストマを理由に泣き言は言わない。
健常者に負けるどころか健常者以上の仕事をしないと負けと知っている。
オストメートになってからは、支障が多々在るがそれを理由に自分の能力を自分で制限することは許せない。
僕はメカニック、だから重いものを持ち上げる、運ぶと言うことはタブー、仕方ないので道具箱を軽く、沢山にして依然と変わらぬように機械修理をする。
日本のオストメートは恐らく世界一恵まれている。
国外には日本の様にあちこちに多目的トイレが在るが、僕は外国ではほんの数カ所で見ただけ、それでも日本ではもっと多目的トイレを要求する、僕にはこの’甘え’が不満。

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