うんこで救える命がある 石井洋介
医療・健康・介護のコラム
積もったストレスが判断を鈍らせる
みなさん、五月病にならずに過ごしていますか? よく耳にする五月病という言葉ですが、実際にはそのような名前の病気はありません。日本特有の表現で、ゴールデンウィーク明けに多くの人が憂鬱になる現象を指します。
海外でも環境の変化が起こりやすい時期や、長期休暇後に、January Blues(1月の憂鬱)などと呼ばれる同様の現象は起こるそうです。日本では4月に入学や転職、転勤などで環境が変わる人が多く、少し時間がたった5月に気分が落ち込む人が増えやすいというわけです。
結婚や妊娠もストレスの要因に
今の時期は入学や就職など、自分の夢がかない、意気揚々と過ごしている人も多いと思います。ただ、希望通りの道に進めても想像以上に強いストレスを抱えることとなるので注意が必要です。
過去半年の間に起きた出来事によるストレスを点数化し、総合点から精神的な不調を起こすリスクを判定する調査研究があります。規模を示す言葉と合わせて「ストレスマグニチュード」と呼ばれます。調査を行った神戸市精神保健福祉センターなどは各出来事によって抱えるストレスの度合いを表(上)にまとめていますが、結婚や妊娠でも決して弱くないことが分かります。
4月を新天地で迎えた人には、いくつもの環境の変化が襲ってきます。一つの変化によるストレスには何とか対応できても、変化が重なるとかなり強いストレスになり、不調が一気に表れる可能性があります。
同センターのサイトでは簡易に総合点を出せます。ストレスがどの程度高まっているかを評価してみてはいかがでしょうか。
新たな挑戦にも注意が必要
ここで環境が変わった人の状態を考えるのに、役立つコンセプト(概念)を紹介したいと思います。
米ミシガン大学ビジネススクールのノエル・ティシー教授が提唱した、能力開発に関する概念です。成長とストレスの関係には、「コンフォートゾーン」「ストレッチ(ラーニング)ゾーン」「パニックゾーン」の3領域があるという考え方を基本にしています。
コンフォートゾーンは自分にとって快適な状態です。仕事で考えると、業務は慣れた内容で現状の技能で対応でき、ストレスもほとんどない一方で、成長はあまり期待できません。
ラーニングゾーンは、新たな仕事に挑むなど未知の領域に入った状態です。慣れた業務をこなすよりもストレスは大きいものの、学ぶことが多く成長できます。
ラーニングゾーンを超え、分からないことが多すぎて手に負えず、過度なストレスがかかっている状態をパニックゾーンと呼びます。判断力も思考力も低下します。負荷が大きすぎて成長は難しくなります。
環境が変わったばかりの人は、変化が大きすぎて勝手が分からず、パニックゾーンに入ってしまうことが多いと僕は感じています。医師の世界でも、研修医になった最初の3か月で2割程度が抑うつ状態になるという研究の結果もあります。
環境に慣れ、技能が上がり、対応可能な範囲が広がることで、不安やストレスは軽減します。僕も医師になった1年目は研修がとてもつらく感じる時もありましたが、2年目以降はストレスが和らいだと感じました。
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僕は家族性大腸腺腫症(FAP)で人工肛門生活二十数年になるが、常にストマを理由に泣き言は言わない。
健常者に負けるどころか健常者以上の仕事をしないと負けと知っている。
オストメートになってからは、支障が多々在るがそれを理由に自分の能力を自分で制限することは許せない。
僕はメカニック、だから重いものを持ち上げる、運ぶと言うことはタブー、仕方ないので道具箱を軽く、沢山にして依然と変わらぬように機械修理をする。
日本のオストメートは恐らく世界一恵まれている。
国外には日本の様にあちこちに多目的トイレが在るが、僕は外国ではほんの数カ所で見ただけ、それでも日本ではもっと多目的トイレを要求する、僕にはこの’甘え’が不満。
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